子どもの腹痛 症状や状況から考える原因の判断方法
子どもが、おなかが痛いと言い出したとき、すぐに病院に連れて行くのは難しいことも。一旦、様子を見るというかたが多いのではないでしょうか。ご自宅でもできる子どもの腹痛の原因の見つけ方とは?
なんだか痛いな…程度の軽い腹痛の場合は…
特に下痢をしているわけでも吐き気があるわけでもない、けれどおなかが痛い…そんな場合には、軽い便秘であったり、ガスが溜まっているだけの場合があります。仰向けにさせておへそ周りに触ってみましょう。おなかがパンパンに膨らんでいたり、硬くなったりしていないでしょうか。便秘でおなかが痛くなることは多いのです。便秘のときはガスも発生して、腸の中をガスが行ったり来たりしますが、実はガスも腸の中で動くと疝痛(せんつう)といって結構強い痛みをひき起こすことがあります。
この腹痛の解決策は、とにかく便やガスを体内から出すということ。
病院に行くと浣腸をしたり、軽い下剤を処方したりしてくれるものですが、その前に自宅で次のようなことを試してみましょう。
・横になっておなかをマッサージ。おへそから子どもの右側から左側を通るよう、「の」の字を書くようにしてゆっくり押してみましょう。痛がらない程度、気持ちのいい程度です。
・水分を多めに摂ってみましょう。腸内の水分を増やすだけでなく、腸への刺激となって排便やおならを促してくれる場合があります。自宅に備え付けのイチジク浣腸などがあれば使ってみてもいいと思います。
吐き気を伴う腹痛の場合は…
痛みだけでなく、吐き気や嘔吐(おうと)を伴う場合、下痢などがあれば「急性胃腸炎」の可能性もあります。
急性胃腸炎には次のような原因が考えられます。
・食べ過ぎ、飲み過ぎなどによる「胃腸炎」
腹痛が起きる前に食べ過ぎ、飲み過ぎがなかったかどうか考えてみましょう。
・ウイルス感染による「感染症胃腸炎」
発熱や頭痛、咳など、風邪のような症状がないか、また、周りに同じような症状の人はいませんか? 一度確認してみましょう。
・細菌、ウイルスによる「食中毒」
腹痛が起きる前に何か変わったもの、生ものや生焼けの食事など傷んだ食物や細菌・ウイルスを含む可能性があったものなどを口にしなかったか、確認してみましょう。
周期的な激痛や歩けないほどの強い痛み、普通じゃない泣き方の場合は…
立ち上がれないとか歩けないとか、明らかにふだんと違う、といった激しい痛み、苦しみ方や泣き方をする場合には、緊急事態かもしれません。ご自宅で対応しようとせず、迅速に医療機関に向かう必要があります。考えられる病気はいくつかありますが、特に多いものが次のふたつです。
【急性虫垂炎(盲腸)】
腸の「虫垂」という部分が炎症を起こす病気です。虫垂は右下腹部にありますが、最初は胃の付近とかおなか全体が痛むこともあり、ほかに発熱、吐き気、嘔吐があります。その後、痛みが右下腹部に集中します。歩いて右下腹に響くのも虫垂炎の特徴です。症状が進むと腹膜炎に発展してしまう場合もあります。2歳以下の子どもが発症した例はごく少ないようです。
【腸重積(ちょうじゅうせき)】
普通は小腸の一部が大腸に向かって吸い込まれるように入り込むことで、内容物の通過障害や入り込んだ腸が締め付けられることで周期的な強い痛みをきたす病気です。
多くは6ヵ月から2歳までの赤ちゃんに多いと言われています。
通常は、とても痛くて苦しがりますが、時によって痛みを感じないときもあり、激しく泣く、泣き止むが繰り返されます。おなかにしこりがあったり、締め付けられた腸から出血して、いちごジャムのような粘血便が出るという特徴もあります。
この2つの病気はどちらも強い痛みがあり、ご説明したような特徴はあるものの、ご家族のかたが判断するのは困難です。これらは急性腹症とよばれ、重症疾患ですので、特に早い対応が大切。「これはふだんと様子が違う」と感じた時点で病院に連絡するようにしましょう。