埼玉県私立中学入試速報【2023中学受験】
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2013年1月10日から行われた埼玉県の私立中学入試。県内の学校の受験者数の増減傾向などの概況について、森上教育研究所がお伝えします。
受験生の千葉から埼玉へのシフトは継続、埼玉の受験生はさらに増加へ
コロナ禍の影響により「埼玉でまず受験」が定着
首都圏の先陣を切ってスタートした2023年度の埼玉県私立中学入試ですが、昨年度同様全体的に受験生が増加しました。
その背景となっているのが3年目となったコロナ禍の影響です。東京、神奈川の入試が始まる2月1日に日程の近い千葉の学校を受験してコロナに感染するのは避けたいという考えから、2月1日までに日程の余裕がある埼玉の学校をまず受験するという動きが定着してきたと考えられます。
さらに、昨年から続く傾向として首都圏からの受験生だけでなく、埼玉の地元の受験生も増えてきました。
これは、近年埼玉県内の公立中高一貫校が相次いで開校したことによる中学受験者層の掘り起こし効果も大きいでしょう。
公立中高一貫校開校の影響は初年度よりも次年度以降に大きくなっていくため、今後も地元受験生の増加傾向は続くでしょう。
「受けやすく安心感がある」ことも埼玉シフトの一因に
それだけ受験者数の増加が続いているといっても、埼玉の学校の場合は受験生が増えた分多めに合格者を出すことで倍率を上げない学校が多く、その点は安心です。
1.2倍程度の倍率から高くても2倍程度に抑えられている入試が多く、これは比較的高倍率となることも多い千葉の学校とは大きく異なる点です。
また、埼玉の場合、入試問題も出題傾向が安定しており受験生がしっかりと練習し準備してきた問題が出題される学校が多く、対策しやすいという特徴があります。
一方で千葉の入試問題は、埼玉と比較するとやや個性的なため、受けづらさを感じる受験生もいるでしょう。
そうした面からも「安心して受けられる」埼玉の学校に受験生がシフトしていると考えられます。
難関校、中堅校、中位校とも全体的に受験生増
もともと受験者数の多い上位校にさらに受験生が集中
個別に見ていくと、今年度受験者数が最も伸びているのは上位校です。
栄東、大宮開成、埼玉栄の3校はもともと受験者数が非常に多い学校ですが、いずれもさらに受験者数を増やしています。
中堅校については上位校ほどではないにしてもやはり増加傾向にあります。これは中堅校の受験者数を減らしている千葉との大きな違いです。
中位校についても減りは目立たない状況で、偏差値が高いほど人気が高いといえます。
また、首都圏からのアクセスのよい浦和実業や獨協埼玉といった中堅校は2023年度も人気を集めました。一方でアクセスのよい学校ほどではありませんが、首都圏から距離のある学校についても昨年度に引き続き着実に受験者を集めています。
付属校人気は沈静化傾向
付属校となった直後に大変な人気となった青山学院浦和ルーテルは、人気が過熱しすぎたこともあり昨年から受験者数は減少に転じていますが、2023年度もその傾向は継続し、人気は落ち着きつつあります。
同じく付属校の立教新座については、倍率はそれほど高くない傾向が続いており、2023年度も例年どおりとなっています。埼玉の付属校人気は沈静化に向かっているといえるでしょう。
学校名 | 試験名 | 入試日 | 男女 | 募集定員 | 23年度 受験者数 |
22年度 受験者数 |
受験者数 前年比 |
栄東 | B日程 | 1/16 | 男 | 40 | 1,211 | 925 | 1.31 |
栄東 | B日程 | 1/16 | 女 | 男女合算 | 758 | 582 | 1.30 |
埼玉栄 | 第3回進学クラス | 1/11 | 男 | 15 | ※ | 130 | - |
埼玉栄 | 第3回進学クラス | 1/11 | 女 | 男女合算 | ※ | 115 | - |
埼玉栄 | 第5回進学クラス | 1/13 | 男 | 15 | ※ | 65 | - |
埼玉栄 | 第3回進学クラス | 1/13 | 女 | 男女合算 | ※ | 48 | - |
浦和実業学園 | 第2回適性検査型 | 1/19 | 男 | 10 | 190 | 175 | 1.09 |
浦和実業学園 | 第2回適性検査型 | 1/19 | 女 | 男女合算 | 274 | 173 | 1.58 |
大宮開成 | 第1回 | 1/10 | 男 | 約80 | 1,175 | 1,174 | 1.00 |
大宮開成 | 第1回 | 1/10 | 女 | 男女合算 | 884 | 927 | 0.95 |
立教新座 | 第2回 | 2/3 | 男 | 約40 | 217 | 203 | 1.07 |
立教新座 | 帰国児童 | 1/25 | 男 | 若干 | 3 | 14 | 0.21 |
※埼玉栄の受験者数は、複数の入試方式の合計で発表されているため記載を省略しています。
まとめ & 実践 TIPS
2023年度の埼玉入試では、昨年度に引き続き全体的に受験生が増加しました。
コロナ禍の影響、地元受験生の増加に加え、「受けやすく安心感がある」ことも背景にあると考えられます。
特に受験者数が伸びたのは、もともと受験者数が非常に多い上位校で、全体に増加傾向ですが偏差値が高いほど人気が高くなっています。
首都圏からのアクセスのよい地域の中堅校は今年度も人気を集めましたが、付属校人気は沈静化しつつあります。
※記事内では一例として、一部の中学校や一部の入試方式の情報を紹介しています(2023年2月7日時点の速報情報です)。
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