救急救命士ってどんなお仕事? 必要な資格、気になる給料をご紹介
- 進路・職業
新型コロナウイルス感染症の影響は大きく、医療現場を支えてくれる職業の重要さを感じているかたも多いはずです。大変な状況の中で働く姿には、感謝してもしきれません。
そんな医療にかかわる仕事の中でも、今回は「救急救命士」に注目しました。具体的な仕事内容や気になる給料をご紹介します。
救急救命士って、どんなオシゴト?
患者の命を預かる責任ある仕事
救急救命士は、病院や診療所に搬送される途中の患者に対して救急救命処置をするスペシャリストです。
止血処置や脈拍の測定だけでなく、点滴や気道確保などの救急医療行為を行うこともあります。患者の心臓や呼吸が止まっていれば、病院に着くまでの処置が生死を分けることもあるでしょう。人々の命を預かる、非常に責任の重い仕事なのです。
消防署の救急隊員として働くことが多い
専門的なスキルが必要な救急救命士は、国家資格の取得が必須となります。資格取得後は、消防官の採用試験を受けて消防署で働くことが一般的です。また、消防官になってから救急救命士の資格取得を目指す人もいます。
なかには、独自の救急医療体制を整えている病院に就職している救急救命士もいますが、ほとんどの場合は消防署の救急隊員として働いていると考えてよいでしょう。
出動の要請を受けて現場に向かう
救急救命士は、出動の要請を受けたらすぐに救急車に乗り込み、現場に向かいます。
けが人や病人の状態を確認したら、無線を使い、受け入れてくれる病院を探し、受け入れ先の病院の医師と連絡を取り合いながら救急救命処置を開始。それと同時に、救急車は病院へと向かいます。病院に到着したら、医師に処置を引き継ぐという流れです。
出動要請がない時間は、シミュレーション訓練をしたり最新の医療情報をチェックしたりして、救命処置のスキルを高めています。
救急救命士の働き方って、どんな感じ?
24時間体制で働く仕事
救急活動は待ってはくれません。夜間の仮眠中であっても、出動要請があればすぐに現場に向かわなければならないのです。そのため、救急救命士は交替勤務を取りながら24時間体制で働いています。早朝や深夜に出勤することもあり、生活は不規則になりがちです。
消防署で働く救急救命士の一日
午前9時、前日の当番から引き継ぎを受けて勤務開始です。救急車や機材の点検を行い、出動要請があるまでは書類をまとめたり訓練を行ったりして待機しています。地域によっては1日に10回以上出動することも。忙しいときは消防署に帰る前に新たな出動要請が入り、そのまま現場に向かうこともあるそうです
夜間は、交代でシャワーを浴びたり仮眠を取ったりし、起きている間は消防署にかかってくる電話の対応をしながら出動に備えています。朝になったら再び消防車や機材の点検を行って次の当番と交代し、勤務終了です。
やりがいのある仕事で女性も多い
人の命を救うのが救急救命士の仕事ですが、人の死にも直面することがあります。体力面だけでなく、精神面でも非常に厳しい仕事です。ただ、それ以上にやりがいも大きい仕事といえます。
また、救急救命士は消防官の中でも女性の比率が高い仕事です。
救急救命士の給料って、どれくらい?
給料
初任給 25万3,000円(東京消防庁Ⅰ類の場合・2020年)
地方公務員として働くことが多い
救急救命士の多くは消防官として働いており、消防官は地方公務員です。そのため、給料は採用される自治体によって大きく異なります。ご紹介した給料は東京消防庁の初任給です。このほかにボーナスとなる期末・勤勉手当や扶養手当などの各種手当が支給されます。自治体によっては、けが人や病人を搬送するたびに救急手当が支給される場合もあるそうです。
病院に勤務している救急救命士の場合、給料は18~20万円程度と勤務先によって幅があります。夜勤がある場合は夜勤手当も支給されるようです。
救急救命士の将来性は?
今後さらに期待されている救急救命士
救急隊が出動する件数は年々増加しています。今後は救急医療をさらに充実させていくことが重要で、それに伴って救急救命士への期待は高まっていくでしょう。現場では、よりいっそう救急医療に熱意を持った人材が求められています。
救急救命士の数はまだまだ必要
救急救命士の資格を持つ消防官の数は増え続けており、平成30年4月1日の時点で全国に約3万7,000人、救急救命士として乗務する救急隊員は約2万6,600人いるそうです。
ただ、救急救命士がいる救急隊の割合は99.1%で、すべての救急隊に救急救命士が配置されているわけではありません。消防庁はすべての救急車に最低1人の救急救命士が配属されることを目標としており、すべてをカバーするまではあと少しです。
ただ、出動要請の増加で休憩が取れず、救急救命士に大きな負担がかかっているのも事実です。救急医療の充実、そして救急隊員の働き方改善のためには、救急救命士をはじめとする救急隊員の数がまだまだ必要とされています。
法律の改正で活躍の場は広がる可能性大
救急救命士が行える処置の範囲は法律で決められており、医師と同じ医療行為がすべてできるわけではありません。ただ、ここ10年ほどで法律の改正が続き、救急救命士が行える処置の範囲は広がりつつあります。救急救命士の重要性は高まってきており、新たな法律改正によって活躍の場は広がっていく可能性もあるでしょう。
救急救命士に向いているのはどんなタイプ? 適性は?
冷静な判断力
救急医療の場においては、現場ごとに適切な判断をする必要があります。一刻を争う場面だからこそ、冷静に落ち着いて判断する力が求められるのです。
医師や隊員とのチームワーク
救急救命士は、医師からの指示を受けて処置を行います。医師以外にも、ほかの隊員や、患者を受け入れる病院・診療所のスタッフと協力しながら行動しなければなりません。そのため、チームワークを大事にする気持ちは欠かせないでしょう。
新しい知識を積極的に習得する意欲
医療技術も医療機器も日々発展を続けています。救急医療においても、さまざまな医療機器を使いこなせなければなりません。医療に関する新しい知識や技術を積極的に習得しようとする意欲や努力も必要です。
体力と思いやりの心
救急救命士の勤務は24時間体制であり、救急隊員になるための訓練は非常に厳しいものです。そのため、体力にも自信がある人が望ましいといえます。それと同時に、けが人や病人を勇気づけたりできる思いやりの心も必要です。
救急救命士になるには、どうすればいいの?
救急救命士になるルート①
救急救命士になるには主に2つのルートがあります。1つ目は、消防官として採用されてから救急救命士の資格を取得することです。
受験資格を得るためには、消防官として勤務しながら5年以上または2,000時間以上の救急業務を経験し、さらに養成所で6か月以上の講習を受ける必要があります。
救急救命士になるルート②
もう1つは、救急救命士の養成課程のある大学や専門学校で所定の課程を学び、国家試験に合格したあとに消防官になるルートです。
消防官になるには、各自治体の消防官採用試験に合格する必要があります。
近年は救急医療に力を入れている病院もあり、救急救命士の資格を持っていればそういった病院で勤務することもできます。
救急救命士になるために必要な国家資格「救急救命士」とは
救急救命士として働くために必要な「救急救命士」の資格は、国家試験で合格すると取得できます。
2020年3月に行われた国家試験では、2,960人が受験し2,575人が合格。合格率は87.0%でした。合格率は近年上がっており、80%を超えることが多くなっています。
救急隊員として働きだしたあとからでも受験資格は得られるため、自分に合ったルートで救急救命士をめざすとよいでしょう。
救急救命士に関連する職業には、どんなものがあるの?
警察官/消防官/海上保安官/自衛官/入国審査官/通関士/大使館勤務/電力会社勤務/ガス会社勤務/刑務官
救急救命士に関連した職業は、警察官や自衛官などの公務保安関係の職業から見つけられます。とくに消防官は、救急救命士と兼務していることも多く、同じ職業だといってもよいでしょう。
ほかにも、看護師などの医療関係の職業があります。人々の命を救ったり支えたりする仕事であり、業務だけでなく思いも通じるところがあるのではないでしょうか。
まとめ & 実践 TIPS
救急救命士は、けがや病気で搬送される人々に救急救命処置をする仕事です。その処置が生死を分けることもある責任の重い仕事ですが、それ以上にやりがいもあります。
新型コロナウイルスの影響もあり、救急救命士をはじめとする医療関係の仕事に注目しているお子さまもいるでしょう。体力的にも精神的にも厳しい仕事ですが、人々の命を守る、なくてはならない仕事です。
救急救命士になるためのルートは1つではありません。未来の命を救うため、自分に合った方法で歩んでいってください。
出典:マナビジョン「救急救命士」
https://manabi.benesse.ne.jp/shokugaku/job/list/021/?utm_source=kj&utm_medium=banner&utm_campaign=manabi
- 進路・職業