中学受験に役立つ読書感想文への取り組み方(2) 伝記ならこの人物がオススメ!

「読書感想文」は、本をじっくり読んで知識を深める最良の機会です。
特に受験生にとっては、受験にも役立つ本選びを考えたいところです。前回は、入試によく出る作家や作品をテーマにしましたが、今回は受験生に必要な知識を深める本選びを考えてみましょう。
ここでは、歴史上の人物をえがいた「伝記」を感想文の素材に選び、受験に必要な社会(歴史)の知識をたくわえる読書をおすすめしたいと思います。具体的な人物の紹介や書き方の手順なども示してみたいと思います。

この記事のポイント

歴史上の人物の「伝記」を選んで、歴史の知識を深める

一般に読書感想文として最も書きやすいジャンルが「伝記」です。本の内容の簡潔な紹介もしやすく、人物のすぐれた点や印象的な言葉や行動なども明快に描かれているので、その感想も書きやすいのです。偉人の子ども時代の話もあり、今の自分と比べることもできますから、感想も具体的に書くことができるでしょう。そして、過去の偉人の伝記を読むことの効能は、歴史への理解が深まるという点です。興味のある人物を選ぶこともいいのですが、受験生として選びたいのは、社会科の知識をつけるためにも、歴史を学ぶことができる偉人を選んでおくのがいいのです。ここでは、近代を中心に感想文を書く伝記の候補としておすすめの人物をあげてみましょう。

「伝記」の感想文としておすすめの人物

・渋沢栄一〈1840年~1931年〉

今注目の人です。新しい1万円札の顔であり、日本初の銀行をはじめ、様々な種類の会社設立し、近代日本の国を発展させる重要な仕事をなしとげた人物。江戸時代末期に農民に生まれから幕府や明治政府の重職に就き、新しい時代の先を読む財界のリーダーになりました。渋沢栄一の信念をつづった名著「論語とそろばん」も児童向けの本が出版されていますので、生き方・考え方を学ぶことができます。参考にするといいでしょう。

・ジョン万次郎〈1827年~1898年〉

江戸時代末期(幕末)から明治にかけてアメリカと日本の間で活躍した日本人。漁師だった少年時代に、今の高知県から船で漂流して無人島にいたところをアメリカ船に救出され、アメリカで学んだ後、日本に帰国します。鎖国していた当時の日本では、アメリカを知るただ一人の人物として幕府に呼ばれ、日米条約の通訳や、英語教師として活躍しました。波乱万丈の人生で、日本開国の時期の様子などを知るうえでも、興味深い人物です。

・荻野吟子〈1851年~1913年〉

近代日本における最初の女性の医師。女性が学問をすることが難しい時代に、女性の病人を診るために女性の医者は必要だという強い信念で医学を学びました。前例のない困難な道を切り拓く生き方には、心を打たれます。江戸末期から明治時代の日本を、向学心のある女性の視点でながめる点でも、重要な人物です。

このほかにも、江戸時代に正確な日本の地図を作製した伊能忠敬、日本の公害問題を初めて追及した田中正造や、日本の女子教育のために力を注いだ津田梅子、日本人女性初のオリンピックメダリスト人見絹枝など、その生き方をじっくり読んで学んでほしい人物はまだまだいます。

本については、いろいろな出版社から伝記のシリーズは出ていますので、図書館などで手に取って見てみるといいでしょう。一つおすすめを挙げると、あかね書房の「伝記を読もう」シリーズは、小学生高学年にとって、読みやすくてよいと思います。

「伝記」と同時に、学習漫画を活用して歴史の理解を深める

伝記には、その人物の生きた時代の説明も書かれてはいますが、背景となる歴史の流れを正確につかむためにも、学習漫画を活用するとより理解が深まります。最近は、学習まんがのレベルが高く、読んで勉強になるものが数多く出ています。偉人の活躍した時代、その歴史的な背景を知るために、学習漫画「日本の歴史」(学研・集英社・小学館など)を活用して、その時代の出来事についても目を通しておくことをすすめます。これは、もちろん伝記を読むために必要な知識でもあり、受験にも役に立つ学習にもなるでしょう。

「伝記」の感想文の型(手順)を決めてから書く

伝記の感想文としては、次のような手順を決めて、その内容をうめていくようにしていくと楽に書き進められます。一般的な例としては、以下のような手順になります。

  • 1)人物を選んだわけ(どこに興味を持ったのか)。
  • 2)伝記の人物の簡単な紹介(どんなことをした人物なのか)。
  • 3)実際に読んで印象に残ったところ(人物の行動や言葉などを引用する)。
  • 4)今の時代や自分と比べながら考えたことや感じたこと(参考にしたい部分など)。

もちろんこれは決まったものではありませんが、書き方で悩む必要はありません。なにより、作文の内容をしっかり書き込むことが一番大事なことです。そして、読書感想文を通して大切な知識を身につけてほしいのです。

まとめ & 実践 TIPS

読書感想文に限らず、平素の読書の機会に「伝記」は、特に小・中学生の時期に数多く読んでほしいものです。
伝記の中には、人生の成功の秘訣がつまっています。すぐれた人物の生き方・考え方など、その生きる姿勢を学び、役立ててほしいのです。伝記の中に出てくるエピソードが、後の人生に役立つということがあるものです。

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プロフィール

佐藤友樹

森上教育研究所にて、長く国語入試問題の分析を担当。現在に至るまで、数多くの学習塾・予備校の国語テキスト、模擬試験を作成。30年以上続けている中学入試の国語分析は、もはや趣味として楽しむ領域。小学生向けの国語の問題・参考書の執筆多数。

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