夏休みに読もう! 中学入試によく出る作家や作品は?【後編】

中学入試の国語で出題される説明・論説文にも傾向があります。引き続き、進研ゼミの国語教材を担当する西村美紀が解説します。

説明・論説文は「テーマ」から傾向をとらえよう

説明・論説文は、テーマによっては非常に難解で、理解しづらいというお子さまもいます。すぐに読み慣れることは難しいので、徐々に読めるようにしていきましょう。

◆説明・論説文の傾向は?

・作家はやや絞りにくい!
物語文に比べて、説明・論説文は的が絞りにくいです。定番作家には、外山滋比古さんや鷲田清一さんがいますが、物語文の定番作家ほど頻出されるわけではありません。また物語文ほど新刊が出題される傾向はなく、外山滋比古さんの作品でよく出題される『思考の整理学』は、実に30年前に刊行されています。

・作家よりもテーマに注目しよう!
説明・論説文において、自然・環境は長らく定番のテーマでした。また東日本大震災後の数年間は、自然エネルギーに関する問題も目立ちました。近年はテーマがやや多様化していますが、これは世の中の価値観が多様化していることの表れなのでしょう。そんな中でも、最近比較的よく目にするのは、言語コミュニケーションや自分探し的な自己実現・自己認識に関するものなどです。

・新書のシリーズをチェック!
「ちくまプリマ—新書」「岩波ジュニア新書」などには、小学校高学年や中学生に読ませたいテーマの書籍が多く含まれており、これらの新書シリーズから出題されるケースも多く見られます。

◆説明・論説文の対策は?

・少しずつ読み進めよう!
「ちくまプリマ—新書」や「岩波ジュニア新書」を手に取ってもらうとおわかりになると思いますが、やはり物語に比べると取っつきにくい内容の本が多いです。とはいっても、ずっと敬遠していたら、いつまでも読み進められるようになりません。物語に比べて章立てが細かくなっているので、「1日1章を読む」などと目標を決めて慣れていくようにしましょう。

・興味のあるテーマから読もう!
説明・論説文のテーマは非常に広範です。ある程度、出題されやすい傾向のテーマはあるものの、具体的に予測しようとして絞り込むよりは、広い範囲から子どもが興味のあるものを選んで、論理的な思考を養うトレーニングをするとよいと思います。例えば、自然科学の分野で不思議な現象を解明する本や、昆虫や動物の生態を説明した本などは、比較的子どもが興味をもちやすいかもしれません。その他、子どもの興味に沿って、手に取ってみてください。

・ニュースなどを題材にして家族で会話しよう!
テレビのニュースなどを子どもと一緒に見て、「私はこう思うけれど、あなたはどう思う?」などと会話をして考えを深めたり、自分なりの考えをもったりすると、論理的に考えて説明する力が育っていきます。社会問題に広く関心をもつことで、説明・論説文で出題されるテーマにも慣れていくでしょう。

入試のテーマによってはメディア、キャリア、グローバル、などのカタカナの言葉にもなじんでおくことが必要です。ニュースや新聞にも目を通す習慣をつけ、語彙を広げておくことも、重要な入試対策と言えます。

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