教育研究の知見を地域に還元し、化学、薬への興味を育む【変わる大学】

社会における大学の役割は、世の中の発展や文化の継承に役立つ研究を展開し、専門性を生かして社会を支える人材を輩出することにあります。一方で近年は、大学の地域における役割も注目され、企業などとの共同開発から、市民を対象にした生涯学習講座まで、多くの大学が地域とつながるさまざまな活動を行っています。中には博物館や資料館がキャンパス内にあり、一般に公開している大学もあります。今回はそのような取り組みの一例として、明治薬科大学の明薬資料館と薬用植物園が主体となって行う子ども向け体験イベント「見てみよう!ふれてみよう!くすりの世界!!」をご紹介します。

身近なものを題材に子どもたちの好奇心を刺激する

第1回「見てみよう!ふれてみよう!くすりの世界!!」が行われたのは、2015年。明治薬科大学には当時から高校生や中学生を対象にしたイベントはありましたが、小学生が対象のものはそれまでなく、「せっかく資料館や薬草園におもしろいものがあるのだから、子どもたちにも見てもらいたい」という声が、特に母親世代の教職員から上がり、年に1度のイベントとしてスタートしました。例年、資料館と薬用植物園の見学、実験室での実験、薬剤師体験といった大きく3ブロックに分かれたプログラムとなっており、実験では、身近にある植物や、家庭にある食材といった、子どもたちが日常で目にするものが素材に用いられるなど、全体を通じて化学や薬が身近なものであることに気づける内容になっています。
第5回目となった2019年度は、7月28日(日)に開催。キャンパス近隣に住む小学4〜6年生35名が参加しました。実験の部では、植物の香り成分に着目してアロマスプレーを作製。好きな香りのアロマオイルを2、3種類選び、調合してから水とエタノールを混ぜ、一人ひとりが自分好みの香りに仕上げました。薬剤師の仕事体験の部では、食塩や粒状のチョコレートを薬に見立て、処方箋を確認して調剤し、薬袋に薬を入れるまでの工程を体験しました。
子どもたちは5、6人のグループになり、各グループに学部生や大学院生が入ってサポートしました。子どもたちは、お兄さんやお姉さんとの交流を楽しみながら、化学や薬が身近な存在であることを知り、実施後のアンケートでも、普段はできない体験に「おもしろかった」との声が多く上がり、子どもたちの関心を大いに刺激する機会となりました。また「大人になったら薬について勉強してみたい」「薬剤師になりたい」という記載もあり、将来何になるかを考えるためのヒントを得た児童もいたようです。

大学の専門性を生かした取り組みによって、普段の学校では得られない学びの経験を子どもたちに与えること。これは、高等教育機関である大学が実践できる、一つの地域貢献の形といえるでしょう。
さまざまな専門的な知見が詰まった大学が開催するイベントは、日常ではなかなかできない知的体験を得る絶好の機会です。もしかしたら、子どもの将来の道につながる出合いが待っているかもしれません。身近な場所で、刺激的な「知」と触れられる大学の子ども向けイベントに、注目してみてはいかがでしょうか。

明治薬科大学
https://www.my-pharm.ac.jp/

本掲載情報は2020年1月時点のものです。

プロフィール

監修/進研アド

おすすめトピックス

子育て・教育Q&A