中学受験する?しない?決定はいつまでに

中学受験をするかしないか、迷っている保護者のかたは多いようです。今は決められないけれど、受験する可能性は残しておきたい……そんなふうに考えているかたも多いのではないでしょうか。
そこで今回は、中学受験の学習はいつまでに始めるべきかについてお話しします。

4年生で「とりあえず勉強を始める」という選択も

一般的に、中学受験を目指す塾や家庭学習のカリキュラムは4年生から始まります。4・5年生でひととおりのカリキュラムを終え、6年生で過去の入試問題など、志望校に特化した対策を行うというのがおおよその流れです。とはいえ、子どもの成長度合いは個人差が大きいものです。特に精神的に幼くみえるお子さまの場合、「4年生の4月から、受験勉強なんてできるだろうか」と保護者のかたが心配されるのも無理はないと思います。
結論から申しますと、「もし迷われているようであれば、習い事感覚ででも、4年生から中学受験の勉強を始めてみては」というのが私の考えです。

9~10歳は知的好奇心が旺盛になり、思考力が大きく伸び始める時期です。そのため、小学校では3年生から理科や社会の学習が始まり、科学的なものの考え方を身につけ始めます。ドイツのギムナジウムや英国のプレップスクールなど、高度な教育機関を目指す中等教育が始まるのも10歳からです。4年生は、勉強を本格的に始めるのに適した時期なのです。

もちろん、深く学ぶ手段は他にもいろいろありますが、中学受験は学習の動機づけとして有効です。また、4年生であれば「楽しみながら興味を広げる」というスタンスで、気軽に学習を始めることが可能です。内容がそれほど難しくなく、時間的な拘束も少なく、5、6年生より費用も安いケースがほとんどです。
実際に中学受験をする・しないは別として、お子さまに「一歩踏み込んで深く学ばせたい」という希望をお持ちでしたら、学習のペースメーカーとして、中学受験のための塾や家庭学習を利用してみてはいかがでしょうか。

なお、公立中高一貫校の場合、小学校の教科書から大きく離れる内容は出題されませんが、自分の考えをまとめて「書く」力が要求されますので、1年~2年の対策期間は必要です。

4年生の間に「好き」「得意」を見つけ、選択肢を広げる

4年生の学習において大切なのは、お子さまの「好きなこと」「得意なこと」をいかに発見するかということです。
大学入試改革に先んじて、中学入試の選抜方法も多様化しています。適性検査型入試や英語入試を導入する学校も増えていますし、自分の得意分野について自己アピールを行うプレゼンテーション型の入試も注目されています。「自分なりの興味・関心を軸に、思考を深めていける主体性のある子に来てほしい」という考えのもとで入試を行う学校が増えているのです。「好き」や「得意」がはっきりしていれば、それを入試で生かせる可能性があります。
ですから、音楽やスポーツなど、お子さまが熱心に取り組んでいる習い事や趣味があればぜひ続けるべきです。特に英語は、今後入試に生かせるケースが増えてくるでしょう。

負荷をかけすぎて、子どもの意欲の火を消さない

このように、4年生の間は楽しみながら学ばせて適性を見極め、どの学校の、どんなスタイルの入試を目指すか、情報を集めながら方針を立てていただきたいと思います。この段階では、選択肢を狭めないことが大切です。
尚、中学受験において差が付きやすいのが算数です。また、国語も、特に男の子は苦手なケースが多いので始めておいたほうがよいでしょう。4年生では、算数と国語だけ塾などで勉強を始めておき、理科・社会は科学教室や博物館へ行く、家庭で図鑑や参考書で調べるなどして、楽しみながら少しずつ興味を広げていくという方法もあります。
なお、学習の難易度や量は、お子さまに合っているかどうかよく見極めてください。塾の授業や家庭学習のテキストが難しすぎて、勉強が嫌いになってしまっては本末転倒です。難易度が高い塾にあえて入れたいのなら、「今は全部できなくて大丈夫」「順位は気にしなくていいよ」などと、保護者のかたがはっきり言ってあげる必要があります。

5年生進級までに第一志望校の決定を

「中学受験するか」「どこを第一志望にするか」は、5年生進級までに決定していただきたいと思います。うちの子にはどんな勉強が合っているのだろう……と、楽しみながら考えて方針を固めるのも、保護者にとって楽しみのひとつかもしれません。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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