どう決める?志望校 高校教育の変化を知る [高校受験]

新学期になりました。中学3年生の保護者のかたの中には「受験生になったのだから、もうすぐに志望校を決定しなくては」と、思うかたもいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、いざ志望校を検討しようと思っても、現在の入試制度は、保護者のかたご自身の時とは大きく変わっているので、とまどうことが多いかもしれません。そこで、中学1年生~3年生の保護者のかたを対象に、高校教育の変化と志望校選択についてお話しします。

■公立高校の多様化と選択肢の広がり

高校教育は、多様化に向かっています。現在、多くの都道府県で学区が撤廃されたり、拡大されたりしたため、志望校の選択肢は広がりました。また、都市部では交通網の発達や、鉄道各社相互乗り入れが進み、以前なら通えなかった学校も通学圏に入ってきています。

学科やカリキュラムも多様化しています。学年制から、より柔軟なカリキュラムを組める単位制を取る学校も増えていますし、総合学科も増えました。総合学科とは、普通教育と専門教育の両方を受けられる学科のことで、学校により、ビジネス系、国際系、理数系、芸術系など、選択できる科目はさまざまです。スーパーサイエンスハイスクール(SSH)、スーパーグローバルハイスクール(SGH)など、文部科学省による指定校のほか、進学重点校、理数教育、ICT教育、福祉教育など、力を入れている分野によって、都道府県の指定を受けている高校もあります。

各都道府県でさまざまな取り組みが進行しており、指定校の入れ替えや、入試制度の変更が生じることもありますので、各都道府県教育委員会のホームページは「お気に入り」に入れるなどして、ぜひ定期的にチェックしてください。

■専門学科の再編と進路の多様化

工業高校、商業高校など、専門学科の改編も進み、「科学技術高校」や「産業高校」といった新しい名称で独自の教育を行うところが増えています。工業系高校の中には、近年、技能習得と進学指導の両方に力を入れているところや、企業での長期の現場研修がカリキュラムに組み込まれた「デュアルシステム」を取り入れているところもあります。産業高校は、生産にかかわる農業科や工業科、流通にかかわる商業科などのカリキュラムを再編し、生産から流通まで一貫して学べるようなシステムになっています。

■公立高校から医学部をめざすコースも

また、より具体的に、大学進学後のキャリア形成を見据えたカリキュラムづくりを進めている学校もあります。

たとえば、東京の進学指導重点校である戸山高校では、2016(平成28)年2月、医学部進学をめざす生徒が、ともに総合的な進路指導やキャリア教育を受ける「チームメディカル」を結成すると発表。千葉県の東葛飾高校でも、2014(平成26)年度から「医歯薬コース」が設置されました。

■「受かりそうな高校」より「本人がやりたいことを伸ばせる高校」を

このように、選択肢が広がっているため、以前より志望校の検討には時間がかかります。「受かりそうな高校」という視点よりも、まずお子さまの特性を伸ばしてくれそうな学校を探し、検討することが大切なのです。

お子さまに興味のある分野があれば、そこに力を入れている学校について広く情報収集し、早めに学校見学に行くことをおすめします。

(筆者:安田 理)

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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