どう決める?志望校 子どもの特性を伸ばすきっかけづくりを [高校受験]
高校教育は大きく変化しつつあり、選択できる学科やカリキュラムも多様化しています。そこで、中学1年生~3年生の保護者のかたを対象に、志望校決定に向けて注意すべき点をお話しします。
■中学1年生、2年生のうちは、好きなことに打ち込む姿勢を応援して
近年、多くの都道府県で学区が撤廃されたり、拡大されたりしているほか、学科も多様化しています。「受かりそうな学校」を探すより、「本人がやりたいことを伸ばせる学校」探しが望ましいですね。
「うちの子には、特に好きなことも、得意なこともない」というかたがいますが、好きなことはちょっとしたきっかけから見つかるものです。何時間やっていても嫌にならないものがあれば、それが向いているということです。ですから、特に中学1年生、2年生のうちは、部活や学校行事、習い事や趣味など、好きなことを思いきりやらせてあげてください。中・高時代は物事にハードに打ち込むことができる時期です。その貴重な時代に、何事も中途半端にこなして「楽をする」というのはもったいないことです。
なお、国立大学協会(国大協)は、2021(平成33)年度までに、入学者全体の3割を推薦入学やAO入試によって選抜するという目標を掲げています。また、今後は大学の個別入試でも、主体性や多様性、協働性が問われるとされています。ですから、好きなことや得意な分野があり、そこから探求する姿勢も持ち、主体的に学ぶことはますます必要となってきます。
チーム力を結集して試合に臨んだ経験や、時間を忘れて音楽の練習や作品の制作に取り組んだ経験は、この先、必ず大きな力になります。また、「学びたいこと」「行きたい学校」を見つけるためのきっかけにもなるのです。
■身近な話題から興味・関心が生まれる
今後、高校入試でも社会問題や国際問題、自然環境に対する興味・関心やものの見方を問う問題が増えていきます。社会への関心を持つことは、「何を学びたいか」を自身で考えるきっかけにもなります。保護者のかたはぜひ、意識してそのようなきっかけづくりをしてあげてください。
たとえばスーパーでの買い物にも、興味の入り口はたくさんあります。野菜や果物の旬、新しい品種、産地や輸入先、品種や産地によって価格はどう違うか、商品の置き方はどうなっているか、などなど。お店は興味関心の宝庫ですね。一緒に買い物をする際は、ぜひ気付いたことを話題にして、お子さまと会話を楽しんでください。ただしその際「受験」とか「志望校」といった言葉は、口にしないことがポイントです。
■「志望校を早く決めて安心したい」気持ちはぐっと抑えて
志望校決定の際、「早く決めて安心したい」という気持ちが働くのはよくわかりますが、子どもの前ではぐっとがまんして、そういう本音を見せないようにしてください。「あそこでいいんじゃない」といった安易な発言もやめましょう。子どもが「学びたいこと」「行きたい学校」を見つけられるように、きっかけや情報を用意して「待つ」ことが大事です。
保護者のかたとしては「我が子がどんな高校に進学すれば、この先有利で、幸せになれるか」という発想になりがちだと思いますが、有利・不利というのは社会情勢次第でたやすく変わります。
志望校選択においては、目先の有利さより「この子はこの先、どんな道を選べば、社会にとっていちばん役に立つだろうか」というふうに、子どもを少し引いて見るほうが、結果的にお子さまの幸せにつながるのではないでしょうか。
(筆者:安田 理)