2016年度の入試傾向からみえてくる課題 [中学受験 5、6年生]

保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。そこで、5・6年生を対象に、2016年度の入試傾向から見えてくる、来年度に向けた課題についてお話しします。

■急速に進む「中学入試」変化の波

大学入試改革を受けて、中学入試も大きく変わりつつあります。新5・6年生が将来受ける大学入試は、共通テストが変わる前の移行期ではありますが、各大学の個別入試はかなり新傾向を取り入れたものに変わっていると予想されます。そのため、中学入試でも、思考力を働かせて問題解決をしていくタイプの設問が増えてきています。

なかでも算数は全体として難易度が上がり、傾向としては、基礎・基本をどのように使いこなすかが問われる問題が増えています。基礎・基本重視の方向は全教科で見られます。

■「第一志望校決め打ち」傾向

また、合格者の入学辞退による「繰り上げ合格」があまり見られなかったのも、2016年度の特徴です。つまり、第一志望校に合わせた学習法を選択し、きっちりと準備して入試に臨んでいる受験生が多かったと考えられます。このような「第一志望校決め打ち」の傾向は、今後も続くと予想されます。

■男子のグローバル志向、女子の国公立志向

学校別に見ると、男子の難関校では、開成中、武蔵中、海城中の入試倍率が約3倍と非常に高くなりました。この3校は、いずれも「グローバル教育」の強化をうたっています。また、女子校では、鴎友学園女子中が2月2日、4日の入試を取りやめた影響で、国公立大学への高い進学実績を持つ吉祥女子中、洗足学園中に数多くの受験生が集まりました。ここ数年、男女ともに国公立志向は強まっていますが、2016年度は特に女子で、その傾向がはっきり出たといえるでしょう。

■新5年生・新6年生に必要なこと

このような傾向から、新5・6年生の保護者のかたにはぜひ、以下の点に目配りをしていただきたいと思います。

●基礎・基本をしっかり身に付け、応用力を磨く
基礎・基本を使いこなせるところまでしっかり学び、理解を深めること。そのうえで、習った基礎事項の中から使える知識を引き出し、応用する訓練をしておきましょう。

●国公立大学を視野に入れるなら、理数系教科の下地づくりを
国公立大学への高い合格実績を持つ学校は、理数系教科を伸ばすノウハウをしっかり持っていることが特徴です。将来の進路として国公立大学を視野に入れるなら、各校の合格実績をよく調べておくこと。そして、今から理数系教科の下地づくりをしておくことも大切です。

●志望校の入試を知り、適切な勉強法を選ぶ
「第一志望校決め打ち」志向は今後ますます強くなると考えられます。ですから、志望校の入試をよく知り、出題傾向に合わせて適切な勉強法を選ぶようにしましょう。たとえば社会問題についての文章を読み、それを踏まえて自分の考えを書くといった国語・社会の融合問題が出題されるなら、そのような問題に取り組む時間を定期的にとり、慣れておく必要があります。

もちろん、それ以前に大事なのは、お子さまの長所を生かし、伸ばしてくれそうな第一志望校を決定することに尽きます。お子さまと話し合いながら進路を定め、新学期を迎える準備を進めてください。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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