[調査]子どもの肥満を減らす動き、本格化へ

この時期、「冬休み中の運動不足とおせち料理の食べすぎで、増えた体重が戻らない!」という声を耳にします。いま飽食の日本では、子どもから大人まで多くの年代で肥満の増加が著しく、これに伴う生活習慣病の増加が深刻化しています。そこで厚生労働省(以下「厚労省」)は「親の生活習慣が小児期の子どもにも影響する可能性があり、この世代への指導が必要」と判断し、対策に乗り出しました。

[調査]子どもの肥満を減らす動き、本格化へ


最近、肥満傾向*1にあるにある児童■生徒の割合が増えています。1982年と2003年の「学校校保健統計調査」(文部科学省)を比較してみると、肥満傾向の児童・生徒は20年間で大幅に増加しています。また別の調査では、年代を問わず成人男性で肥満*2の割合が増加しています(図1参照)。
   *1 「肥満傾向」・・・身長別平均体重より20%以上重い状態のこと
   *2 「肥満」・・・体内に脂肪が過剰に貯蔵蓄積された状態のこと

【図1 肥満者の割合の推移<男性>】


             出典:厚生労働省「平成15年国民健康・栄養調査

肥満度の判定には、WHO(世界保健機関)などで広く使われているBMIという指標があります。次の式に当てはめて、実際に自分の肥満度を出してみましょう。

BMI=体重(kg) ÷ 身長(m) ÷ 身長(m)

 BMIが18.5以下→ 低体重(やせ)、18.5以上25未満→ 普通体重(正常)、
     25以上→ 肥満

肥満が健康によくないことは誰もが知っていますが、具体的にどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。「独立行政法人国立健康・栄養研究所」の調査によると、このBMI が27以上の場合高血圧になるリスクは3 倍近くになり、糖尿病、高コレステロール血症については、BMI が29を超えると、それぞれの病気になるリスクが4〜5倍に上昇したそうです。ここで挙げたいくつかの病気・疾患はいわゆる「生活習慣病」と言われ、現在では、中高年など成人に限らず子どもも含めた国民全体の問題となっています。

【図2 肥満と生活習慣病】




「子は親の背を見て育つ」は肥満もしかり?!

増加する子どもの肥満を減らして「生活習慣病予備軍」を減らすために、国も動きはじめています。特に、子どもの発育・発達にとって大切な時期については、栄養素摂取の偏りやそれに伴う肥満など問題が多様化し、しかも深刻な事態であるとの考えを国は持っています。
そこで、厚労省は2006年度に全国10か所をモデル地区に選んで、小中学校と連携して、親を含めた、身長、体重、健康状態のほか、食事や運動の習慣などを調査する予定です。

ここで注目したいのは、親世代の現状と子どもの肥満の増加に関して、親世代の生活習慣が子どもに影響を与えている可能性が言われている点です。厚労省の審議会などでは、専門者から「肥満の子どもは肥満のまま大人になる可能性が高く、将来の生活習慣病につながる」「両親が肥満の場合、子どもが肥満になる傾向が高く、親子での学習機会が必要」といった指摘がありました。
例えば、今の親世代が食事作りに関して必要な知識を十分に持っていないことや、親子のコミュニケーションの場となる食卓を囲む機会が持てていない状況などから、子どもの「食べる力」を豊かにする必要がありそうです。

肥満の防止と改善にもっとも重要なことは、正しい食生活と運動の習慣づけです。しかし、子どもの鏡ともいえる親世代の生活習慣については、いささか不安な現状が見られます。
10年前に比べると、運動習慣(1回30分以上の運動を週2日以上実施し、1年以上継続している)のある大人の割合は、全体では増加していますが、それでも男性で30%以下、女性は25%以下にとどまっています。年齢別に見ると、60歳代以上と比較して、特に20〜50歳代男性、20〜40歳代女性では運動習慣のある者の割合が低いことがわかりました。

また厚労省の「乳幼児身体発育値調査」(2000年)によると、過去2回の調査結果と比較して、幼児期の室内遊びが大きく増えており、さらに40〜50年前と比較すれば手伝いをはじめとした遊び以外で身体を動かす機会も減ってきています。とはいえ、幼い子どもを狙った痛ましい事件が立て続けに起きている昨今、外遊びさせたくても安全上できない現状もあります。そこで、例えば親子で共にスポーツを楽しむ機会を意識的に増やすなどの工夫が必要かもしれません。

子どもの健康を守ることは、大人が正しい生活習慣を身につけ、実行することにもつながります。そのためには、まず保護者が自分の生活を見直すことから始めましょう。折りしも、2月1〜7日は「生活習慣病予防週間」です。これをきっかけに、子どもと一緒に運動する、身体によい食事の与え方を知るなど、出来ることからひとつずつ始めてみませんか?


関連記事:「子どもの体力が低下〜生活改善への方策が必要 」(2005/09/15)

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