アクティブ・ラーニングを取り入れた入試対策を [中学受験 4年生]

保護者の役割は、子供成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。そこで、4年生を対象に、大学入試改革を見据えた中学受験準備についてお話しします。

■新テストの出題イメージからわかること

2020年度に導入される予定の、大学入試新共通テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」。2016年春に4年生になる子どもたちは、このテストを受ける第一期生となります。2015年12月下旬には、このテストで出題される記述式問題の出題イメージが合わせて4例公開されました。国語では、「公立図書館に関する新聞記事を読んで、今後の公立図書館のあるべき姿について書く」などの問題3例。数学は、「スーパームーンについての資料を読み、月の見かけ上の直径について三角比を用いて答える問題」が1例出題されました。

これらの出題イメージからわかるのは2点。まず、国語では、読解力を基礎としながら、自分の考えを表現することに重きが置かれていること。そして数学は、科学的なものの見方を問う理科との融合問題が出されるということです。高大接続システム改革会議座長の安西祐一郎氏は、「自分で考えることが楽しいと思える受験生ほど、チャレンジしやすい入試になるだろう」と述べています。

■中学入試はどう変わる?

新4年生が受験する中学入試では、大学入試新共通テストの影響で、このような「問題解決型」の出題がかなり増えると考えられます。
これまでも、難関校では融合問題や自分の考えを書かせる問題はよく出ていました。今後は中堅校においても、こういった問題を採用するケースが増えてきそうです。ただし、どの程度新テスト対応をするかは学校により異なってきますから、志望校のアドミッションポリシーをよく見ておく必要があります。

■受験勉強も「アクティブ・ラーニング型」に

問題解決型の出題に対応できる力を付けるためには、従来どおり、各教科の基礎となる知識をしっかり身に付けることが必要です。ただし、基礎が「なんとなく」わかっているレベルではなく、使いこなせるようにならなければなりません。そのためには、「自分で調べる」「発表する」などの「行動」が有効です。つまり、今後は中学入試対策も「アクティブ・ラーニング型」にすることが望ましいのです。たとえば4回、各教科の単元を学んだら、5回目はそれらの知識を使って考える問題解決型の学習とする。そんな機会があるとよいですね。

今後、塾や家庭学習教材においても、新テスト対応の学習が充実してくるでしょう。「考えることが楽しい」と思わせてくれるような、よい先生や教材を見つけることが大切です。また、ご家庭でも調べるのが楽しくなるようなよい図鑑、辞書、事典などをそろえ、お子さまと一緒に調べたり、考えたりする機会を持つようにしてください。問題解決型の設問例がインターネット上に上がったり、本になったりする機会も増えると思いますので、そういう材料を使って学ぶのもよいと思います。

大学入試と時代の変化を見据えると、「考える」ことを楽しむ習慣を付けることが、今後の中学受験生にとっていちばん大切といえるでしょう。

(筆者:森上展安)

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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