この気配りはアリなのか? なう。[おぐらなおみの「もういちど受験なう。」~浪人・再チャレンジ編~]
++この気配りはアリなのか? なう。++
空気は澄み、キンモクセイの香りも漂い、ああさわやかな秋の日よ……。
ここはひとつ「気分転換に日帰り温泉でも行こうじゃないか!」とムスメに提案してみても、
「予備校に行くからいい……。」と言われて、なんかこう腑に落ちません。
いや、別に無理やり遊びに誘おうと思ったわけではないんですよ。
ちょっとした雑談時に、「ウィークデーは予備校で必死に勉強する。週末に1日くらいは
気分転換にちょっと休もうかな。」などと言っていたので、授業のない日に誘ってみたのに、
「そういう気分にはなれないから。」と断られたのでした。
さびしい。さーびしいーなあああああ!
そうでなくても、最近のお母さん(私)の気配りはマトが外れているようで、
いちいち、「そういうことは言わないでほしい。」と、訴えられることも多い。
こちらとしては、「なんなのよ、もう……。」という感じです。
しかし、第一志望の大学名を耳にしたくない、というのは意外でした。
それだけプレッシャーがあるのか? それとも自信のないことの表れか……?
ムスメが浪人しているというと、「親御さんも大変でしょう?」といたわりのお言葉を
いただくこともあるのですが、実際のところはそれほど親が苦労する場面はありません。
むしろ現役のときのほうが、何かと忙しかったような気がします(高校にもよく行ってたし)。
現在は、ムスメがひとり孤独に耐えつつ、歯を食いしばり血の涙を流し、受験のプレッシャーと
闘っているような気がして切ないのです。
サポートをしたい、励ましたい、勇気づけたい、ごはんをいっぱい食べさせたい、
睡眠は足りているか、友人関係で悩んでいることはないか、疲れると出てくるじんましんの
症状はどうか、かゆかったら薬を塗ってあげたい、かゆくないのなら一緒に喜んであげたい、
そして何よりも何よりも、第一志望に合格させてあげたい。
イライラするムスメの言動に、カチーンとすることもあります。しかしながら、
「なんか、浪人しちゃってごめんね、迷惑かけちゃった。」なんてさりげなく言われて、
その場ではなんとかこらえても、布団の中でウォーウォーと嗚咽(おえつ)し、
猫に逃げられるワタクシ。(ごめんよ、猫……、つうか慰めてくれよ、猫……。)
空気は澄み、キンモクセイの香り漂う秋の日にも必死で勉強しているムスメに、
あなたは立派だよ、と心の中でつぶやき、ムスメの大好物のプリンを差し入れしたのでした。
……お母さんの分もペロッと食べたムスメ……、うん、いいよいいよ(本当はよくない)。