夏休みは、志望校を見据えた「底上げ」に集中! [中学受験 6年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。
今回は6年生を対象に、夏休みの重点課題について取り上げます。



■とにかく、荷物は小さくする

6年生の夏休みには、「苦手克服」が重要であることは以前にもお伝えしました。
実際に夏期講習を受けてみて、「あれも苦手」「これもできない」と焦っているかたも多いかもしれません。
ここで重要なのは、やるべきことを絞り込んで、ご本人の負担感を軽減してあげることです。
優先すべきは「志望校でよく出題される問題」の中の「苦手単元」です。すべての問題ができるようになる必要はありません。



1:志望校でよく出題される問題に絞る

志望校でよく出題される分野、問題形式、難易度などの傾向に注目してください。「出ない」ならば手を付けなくてかまいませんし、正答率が低い難問は「できなくても受かる」可能性が高いわけですから、飛ばしてOKです。中学入試問題はかなり標準化されていますので、重要な問題だけコンパクトにまとまった問題集を見つけ、そこから必要ないものを省いていきましょう。保護者のかたが省くのは難しいので、ご本人の自覚を促す意味でも、志望校の傾向に詳しい塾や家庭教師の先生に1対1でコーチングしてもらうのがおすすめです。



2:「よく出る」けれど「不得意」なものを優先する

多くの子どもたちは、夏休みになるとやっと時間に限りがあることに気付き、本気になり始めていますから「こういう問題は絶対出る!」といった言葉はよく効きます。よく出る問題のうち、理解不足や演習不足で失点しているものを優先し、確実にできるようにしていってください。得点率の高い問題を、8割がた正答できていれば合格可能性は高くなりますが、夏休み中にそこまで持っていくのは難しいので、今は7割をめざしましょう。また、解く時間は、今は気にしなくてかまいません。本番では2分で解かなければならない問題に、10分かかってもけっこうです。「ゆっくり考えれば、解答の糸口をつかめる」というところまで持っていければ十分です。
夏休み中に取り組んだ苦手な問題を、夏の終わり、または2学期に取り組むと、楽に解けるようになっていることも多いものです。



■時事問題にも、志望校の傾向に応じて目配りを

近年は、多くの学校の理科・社会で時事問題が出題されます。たとえば、その年にあった統一地方選挙や、皆既月食などの現象はよく取り上げられますね。志望校の傾向を見て「出る」ようであれば、今年の夏までの時事問題はざっとチェックしておく必要があります。

ただし、いきなり時事問題の「設問」に取り組むのは、子どもたちにはまず無理だと思います。一般向けのニュース番組は、その日の事件のみを伝えて、背景をあまり解説しないものが多いので、大人にもわかりにくいものです。子ども向けのニュース解説や小学生向けの新聞を一緒に見ながら、まずはいろいろとおしゃべりをするのがよいでしょう。時事問題には、歴史的、地理的な背景が絡んでおり、立場によって意見も変わります。たとえば「一票の格差」の問題にしろ、そもそも「多数決」という決め方そのものに問題があるのではないか、という議論も数多くあります。小学校のクラスでの表決に置き換えたり、多数派・少数派の立場に立ってみたりしながら、話をふくらませていってください。問題に取り組むのはそれからでよいのです。



■「基礎の基礎に戻る」ことを恐れずに

繰り返しになりますが、できるはずなのに「苦手だから失点している問題」で得点できるようになれば、合格率は大きくアップします。本番までに、基本問題+αの簡単な応用問題ができるようになればいい。そのために、今は苦手分野の基礎固めに注力してください。簡単な問題のみに取り組ませ、できたところにどんどん○を付けてあげる、初学者向きの勉強法も効果的です。
なお、「寝ないで勉強した」といった先輩の武勇伝には踊らされず、睡眠はきっちり8時間取ってください。ペースを守り、優先順位を付けながら、ゆっくりと学力の底上げをしていくことが、今いちばん大切なことです。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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