美術館で働く仕事、学芸員とは

美術館で働いている人たちを学芸員といいます。学芸員の方々は、日々どんな仕事をしているのでしょうか。府中市美術館館長でいらっしゃる井出洋一郎さんにお話を交えてご紹介していただきます。


美術館だけじゃない! 幅広い学芸員の仕事

 学芸員とは美術館で働いている人だけを差す言葉ではなく、博物館、美術館、動物園、水族館、植物園、科学館、天文台などで働く人たちを差します。大学で単位を履修し、国家試験に合格すれば資格をとることができます。その後、働きたい施設が学芸員を募集していれば、採用試験を受け、合格すれば働くことができます。
 ここでは美術館で働く学芸員のおもな仕事について取りあげます。

 

井出さんの意識を変えた出来事とは

 美術館では、資料の収集、保管、研究が主な仕事となります。そういうと、ひとり黙々と作業をするようなイメージを持つかもしれません。しかし、学芸員の仕事は決してそれだけに留まりません。大学院から学芸員になったばかりの頃、井出さんの意識を変えた出来事があったそうです。

井出さん「学芸員として働きはじめた私をプロとして目覚めさせ、鍛え上げてくれたのが一般のお客さんたちでした。美術館では、ギャラリートークといってお客さんと一緒に展示を回って解説していく機会が度々あるのですが、そこで出てくる質問が本当に多岐にわたっていました。『この絵はいくらするんですか?』や『美術館の庭の手入れはどうやってしているのか』『このあたりにおいしいランチが食べられる店はあるか』など、大学で絵画を専門に勉強してきた私にとっては驚くべき質問ばかりで、それに答えようと勉強しているうちにそれが楽しくなっていったのです」


 

学芸員の仕事の魅力は

 井出さんは、学芸員を自分の「天職」と言います。そう感じはじめたのは、学芸員という立場から、美術館の館長という立場に変わってからだそうです。どうしてそう感じたのでしょうか。
 
井出さん「学芸員の仕事と館長の仕事は大きく異なります。学芸員が自分の研究をもとに作品の収集や展覧会などを企画していくのに対し、館長は美術館のマネジメントを行います。マネジメントとは、一つは職員に自分の目的を持って働いてもらう環境を作ること、もうひとつは美術館に新しいお客に来てもらうことの二つです。 ですから館長は縁の下の力持ち、下支えをする役です。私は違う立場になって、学芸員の仕事がどんなに豊かで魅力的なものだったかがわかりました。今はたびたび学芸員室に出没して学芸員たちと会話をするようにしています。彼らにとっては迷惑かもしれませんが、隙を見ては何か口出ししたくてたまらないんですよね。私にとって学芸員が天職なんだということがよくわかりました。いつまでも〈気持ちは学芸員〉の館長でいたいと思います」

 
 自分の好きな分野に日々関わることができること、お客さんたちとのコミュニケーションなど、学芸員の仕事には魅力がたくさんありますね。

 

プロフィール

監修:井出洋一郎(いでよういちろう)

美術評論家連盟会員。1978年から山梨県立美術館初代「ミレー番」学芸員を約10年勤め、以後東京純心女子大学、上智大学などで教鞭をとり2009年から府中市美術館館長、2015年4月から群馬県立近代美術館館長就任予定。主な著書に『印象派の名画はなぜこんなに面白いのか』(カドカワ)、『フランス美術鑑賞紀行1、2』(美術出版社)などがある。

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