国語のニガテ、どう克服する? [中学受験 4年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。4年生の秋以降に注意したい、国語の学習法について取り上げます。



■国語はできて当たり前?

「国語」は、普段使っている日本語なので、勉強しなくてもある程度はできて当たり前と思いがちです。しかし、4年生の段階で、学校では読書指導や読解指導はほとんど行われていませんから、突然「読解問題」を前にした子どもたちが戸惑うのは当たり前です。
まだ時間に余裕のあるこの時期、いきなり読解テクニックなどを教える前に、「読む」ことの基礎力を養えるよう、ぜひご家庭で橋渡しをしてあげられると理想的です。



■知らない言葉があったら、まず意味を想像しながら読む

国語には、英語のような「語学」の面と、「総合学習」の面があります。語学ですから、しっかり文章が「読める」「書ける」ようになるには語彙(ごい)の積み上げがいるのです。
文章を読む時には「内容を大まかにつかむ」力と、「精密に読む」力の両方が必要です。英語の長文を読む時は、知らない単語があっても、だいたいの意味を想像しながら、全体の内容を大づかみに把握していきますね。国語も同じで、知らない言葉はまず意味を想像しながら読む癖をつけることが大切です。
国語が苦手になる原因の一つが、「読み飛ばし」です。知らない言葉を自覚のないままどんどん読み飛ばす癖は、早めに直していく必要があります。一方、知らない言葉でひっかかってその先が読めないというのもよくありません。
国語が苦手な場合は、ぜひ交代で文章を音読する「読み合わせ」をして、お子さまの読み方をよく聞いてあげてください。言葉の意味がわかっていない場合は、漢字が読めない、発音がおかしいなど、読み方でわかると思います。そんな時は、「○○ってどういう意味だと思う?」と聞いてみましょう。子どもは言葉の響きや漢字の字面しだいでとんでもない解釈をすることがありますが、それはむしろ子どもの想像力の表れで、とてもよいこと。一緒に大いに楽しんでください。その後、辞書などで正確な意味を確認します。こうしたほうが想像力の訓練にもなりますし、正しい意味も記憶に残ります。「手を焼く」とか「腹をくくる」といった体の部分を使った慣用句など、面白がって覚える子も多いようですね。



■「これ」って何のこと?と確認しながら読む

「これ」「その」「あんな」などの指示語の示す内容をつかむことは、文章を正確に読み取る訓練になります。文章を一緒に読みながら、「『これ』って何のこと?」「『そんな話』ってどんな話?」と、ゲームのように聞いてあげてください。指示語の読み取りが正確にできるようになったら、国語力は確実にアップします。



■接続詞を意識して、文脈の流れをつかむ

文章の内容をつかむのに役立つのが「しかし」「そして」「つまり」などの接続詞です。「『しかし』なら、前に言っていたのとは反対の内容が続くんだよ」「『つまり』なら前に言ったことの詳しい説明がくるよ」などと、繰り返し説明してあげてください。文章中のどの内容が説明で、どれが具体例で、どれが結論か……などとつかめるようになるには、大人でも時間がかかるものです。



■読ませる文章は、子どもの興味ある内容を扱った説明文を

読み合わせをする文章は、ぜひ易しくて子どもが好きな内容のものにしてください。読解の基礎を身に付けるには、どちらかといえば物語より説明文のほうが適していますが、説明文の場合、内容に興味があるかないかで子どもの読解力は大きく違ってきます。たとえば昆虫が好きな子なら、昆虫図鑑の中の文章でもかまいません。好きな内容でなければ、文章を精読するのは骨が折れるものです。
なお、物語の場合はお話が面白く、お子さまがワクワクしながらあらすじを追えるものがよいですね。「登場人物の気持ちが読み取れない」と心配する保護者のかたも多いようですが、それは感情が未成熟なだけかもしれません。好きなペットや宝物への愛着とか、「お化けが怖い」といった恐怖の感情などは早めに育ってきますが、家族や友達への複雑な感情、まして恋愛感情がからんだような作品は、まだ読めない子も多いかと思います。今焦る必要はまったくありません。
現時点で望ましいのは、「物語はつまらない」「説明文は嫌い」といった苦手意識を持たせないことです。さまざまなジャンルの、お子さまが思わず開いてみたくなるような絵本や図鑑などを用意してあげられれば理想的です。



■文章と絵、文章と体験を結び付ける

国語は総合的な学習であり、コミュニケーションやプレゼンテーションの勉強でもあります。プレゼンで図や写真を使って説明するのと同様、国語だからといって言葉のみにこだわる必要はありません。読み取ったことを絵にする練習は文章を正確に読み取る訓練になりますし、絵や写真に説明書き(キャプション)を付ける練習をすることで、的確に言葉で表現する力が付きます。
また、私立小学校の宿題によくあるように、博物館や美術館などに出かけ、その内容をレポートする、逆に、読んだ文章の中に出てきたものを実際に見に行く--たとえば社会で習った「〇〇工業地帯」へ行ってみる、本に出てきた動物に会いに動物園に行くといったことも国語力アップに役立ちます。「読む」「書く」力は、現実の体験と結び付いて伸びていくのです。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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