過去20年の日本で最も成功をおさめた分野は「サッカー」とスポーツビジネスの専門家
大学や学部をどのように選び、何を学べば将来に生かせるのか。そのヒントを求めてさまざまな大学の研究室を訪ねるシリーズ。今回は、サッカーのW杯招致、なでしこジャパン誕生などに携わった、早稲田大学の平田竹男教授の研究室に伺った。
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最近20年間の日本で、サッカーほど輝かしい成功をおさめた分野はありません。人気も実力もマイナーだったのが、Jリーグが発足し、W杯を自国で開催し、海外の一流クラブで何人もの選手が活躍しています。また、女子のなでしこジャパンが2011年のFIFA女子ワールドカップで世界一に輝くなど、飛躍的な発展を遂げ、多くの人たちに勇気や力を与えました。私自身、通商産業省(現・経済産業省)の官僚や日本サッカー協会の一員として、そこに深く関わってきました。
今の日本の若者の多くは、高度成長期に育った私の世代とは違い、自信がなく、夢を抱けずにいます。しかし、サッカーという明るい材料で学ぶうちに、勇気や力が漲(みなぎ)り、「やればできる」という気持ちになれます。私も学生たちを間近に見ていてそう実感しています。今の日本の大学で、多くの学生にそんな力を与えられる分野は、他にないでしょう。ゼミ合宿では毎年アジアに行っていますが、それは今の日本に失われた、明るく前を向いて成長していく雰囲気を感じてほしいからなのです。