【理科が苦手】好きになるために家庭でできることは?
理科を好きになれない子どものほとんどは、教科書の内容を覚えるだけの教科ととらえているようです。しかし、理科の本質はそこにはありません。自然界の現象などを目の当たりにして、「どうしてだろう」「不思議だな」といった興味・関心を抱くことから、本当の理科の学びは始まります。それでは、どのように興味・関心を引き出せばよいのでしょうか。
自然体験や生活の中の素朴な疑問から科学する心は生まれる
科学は、自然界などの事象を解明したいという人類の探究心と熱意に支えられて今日まで発展してきました。ニュートンが「万有引力の法則」を発見した出発点には、「どうしてリンゴの実は落下するのだろう」という素朴な疑問があったはずです。大げさな話に聞こえるかもしれませんが、小学生の理科の学習に求められる姿勢も、それと大きく変わりません。学習の内容が「どうしてだろう」「不思議だな」といった興味・関心と結びついたとき、子どもの「もっと知りたい」という気持ちに火が付いて、観察や実験は楽しくてたまらないものになります。逆に学習が教科書の内容を暗記するだけのものになってしまったら、つまらない教科になるのは想像に難くありません。
それでは、どうすれば子どもは探究心をもってくれるのでしょうか。まず、「本物」の自然にふれる体験がベースとなります。テレビやインターネット、本などでも情報は得られるでしょう。しかし、それは知識にすぎませんから、子どもを心から感動させたり驚かせたりすることはなかなかできません。実際に美しい夕焼けに心を奪われ、「あんなにきれいなオレンジ色なのはなぜだろう」と疑問をもつことから、科学する心は生まれるのです。
ですから、子どもが自然に親しむ体験をたくさんもたせてあげましょう。たいていの子どもは自然の中で遊ぶことが大好きなので、「勉強のため」という感覚は全くもたずに夢中になるはずです。自然が豊かな場所に連れて行ってあげることも大事ですが、都会にいたら自然にふれられないわけではありません。街中でも季節の変化は感じられますし、よく見ると身近には鳥類や昆虫など多様な生物が存在することに気づきます。庭やベランダで植物を育てたり、生き物を飼育して観察したりすることも、立派な自然体験です。ただ、都会では自然が見えにくいため、保護者自身が興味をもっているという態度を見せて、気づかせてあげることも大切です。
学習の内容が生活と深く関連することに気づかせよう
もちろん、小学校の理科で学ぶ対象は自然だけではありません。例えば、「電気」「光」「磁石」「人体」「振り子」「燃焼」「てこの原理」など分野はさまざまですが、そのどれもが日常生活と深い関わりをもちます。しかし、子どもは教科書で学んだことが自分の生活と関わっていることになかなか気づきません。そのことを意識して教えてくれる先生も少なくありませんが、子どもの生活の場は家庭ですから、保護者が気づくように促してあげると、よりいっそう、実感をもって学べるようになるでしょう。
例えば、料理中に塩や砂糖を加える場面で水の温度や量による溶け方の違いを見せたり、栓抜きなどの身近な道具に、てこの原理が応用されていることに気づかせたり、いろいろな状況が考えられます。各地の科学館では、子どもの興味を引き出し、遊びながら学べる展示やイベントが充実しているので連れて行ってあげるのもオススメです。
教えすぎず、自分で探究する力や姿勢を育てよう
子どもの理科への興味・関心を高めるうえでかならず心がけていただきたいのが、教えすぎないことです。自分の内面から生まれた疑問を起点として、調べたり確かめたりするプロセス自体が学びであり、楽しみであるからです。保護者が答えを知っている場合でも先回りして教えず、子どもが考えあぐねて諦めそうになったときに簡単なヒントを与える程度にとどめましょう。そうした体験を通して身につく探究する力や姿勢は、理科に限らず、あらゆる学びの土台となるはずです。