国語では、特に物語の心情を把握するのが苦手です[中学受験合格言コラム]
国語では、特に物語の心情を把握するのが苦手です
平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。
※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。
質問者
相談者:小5女子(性格:大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま
質問
記述力がなく、塾内で行われる記述中心の試験などは苦手で、あまり点数がとれません。国語では、特に物語の心情を把握するのが苦手です。
小泉先生のアドバイス
設問によってはもっと範囲を広げて推測しなければならない場合もある。
物語文の記述問題では、間接的な心情表現からその人物の心情をとらえることが大切ですが、これを苦手としている生徒さんは多いようです。「言葉」「動作」「情景描写」などから心情を推測するわけですから、それほど難しいことはないと思えますが、設問のしかたによっては難問になる場合もあります。特に、傍線部だけではなく、文脈を含めて考える必要がある設問には特に注意すべきでしょう。
図1は物語文の問題文で、中央には、「○△□×●▲……」というAくんの動作などが書いてあり、そこに傍線がひいてあると仮定します。問いは気持ち問題ですから、「傍線部のAくんの気持ちを説明しなさい」となります。
さて、この時に注目すべき部分は、設問によって異なります。
■(1)の場合
まず、いちばん単純なのは、傍線部の部分だけで心情を判断できる場合です。たとえば、傍線部の「○△□×●▲……」が「Aくんは頭をかきながら~」であれば、Aくんの気持ちは「恥ずかしい」と推測できます。
■(2)の場合
傍線部だけでは推測できない場合もあります。たとえば、傍線部でAくんが「涙ぐんでいた」とあっても、それだけで「悲しい」と言いきれない場合です。それは、傍線部の前で「今までわだかまりを持っていたお母さんの愛情を感じた」とあり、傍線部のあとで「Aくんはにっこり笑った」とあれば、傍線部の涙は「喜び」と推測できるからです。
■(3)の場合
さらに範囲を広げる必要があるケースもあります。(3)の場合、まずは物語の設定から説明します。問題文の前半でBくんは友達のAくんとケンカします。しかし、Aくんはお母さんの用事でBくんの家を訪問し、気まずい雰囲気の中で二人は出されたジュースを飲みます。二言、三言、話はしますが、互いに謝ろうとはしません。やがて、「じゃあな……」と言いながらAくんは帰ります。そして、Bくんは最後に、「『やっぱり生意気だなぁAくんは』と笑いながら思った」とあったとします。最初は互いに腹を立てていますが、最後は明らかに関係が少し改善しているようです。そして、傍線部では「Aくんは何か言いたそうに出されたジュースをストローですすっていた」とあったとしましょう。
この時のAくんの気持ちとしては、「謝りたいが、気まずくて言い出せない」というようなものでしょうか。このように、問題文全体の流れから考える必要がある設問もあります。もちろん、気持ちを限定しづらい場合もありますから、そのような時は記述問題ではなく、選択肢形式の出題になるとは思います。
以上、心情表現をとらえるために注目すべき部分について説明しました。設問によっては傍線部だけに注目すればよい場合と、もっと範囲を広げて文脈から推測しなければならない場合があることがおわかりになったと思います。このように視点を広げることで、心情表現のとらえ方の苦手を克服しましょう。