神奈川県の高校入試、共通選抜に一本化で難易度は変わる?
過去には、ア・テストの実施など独自の制度を採用し、その後は複数志願制、推薦入試、前期・後期選抜などと変化してきた神奈川県の高校入試。2013(平成25)年春より前期・後期選抜を廃止し、入試を一本化した。制度改革による入試のポイントを、ベネッセコーポレーション 進研ゼミ高校受験総合情報センター センター長の浅野剛氏に解説してもらった。
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これまで神奈川県の高校入試では、「自己PR型」の推薦入試、調査書や面接による前期選抜と、おもに調査書と学力検査による後期選抜を行ってきました。2013(平成25)年春からの新制度では、前期選抜・後期選抜を廃止し、共通選抜に一本化。すべての受験生に、共通の学力検査と面接を課しています。
学力向上進学重点校(大学進学に特に力を入れる高校)など、一部の高校で行われていた「学校独自問題」は廃止され、高校によっては「特色検査」が実施されます。特色検査には、記述やスピーチなどの自己表現検査と実技検査があり、学力向上進学重点校の多くが記述系の自己表現検査を導入しています。
新しい学習指導要領に対応した入試問題は、より思考力・判断力・表現力等を把握できるものへと改良され、各教科の満点もこれまでの50点満点から100点満点になりました。内容的にも、数学の証明問題・説明問題がこれまでの選択や穴埋め問題から完全記述になったり、社会科では80字程度の記述問題が2問出題されたりなど、大きく変化しています。その結果、5教科の平均点は500点満点中305点(※)と、およそ6割になり、平均で7割以上得点できていた時代と比べれば、「難しくなった」といえます。
※神奈川県教育委員会発表の各教科の合格者の平均点を合算したもの
それでも、学力向上進学重点校合格者の多くは、平均で420~460点と、高い得点をマークしています。2012(平成24)年まで、これらの高校の多くは英語・数学・国語で難易度の高い「学校独自問題」を実施しており、これらの高校を受験する生徒にとっては「やさしくなった」という見方もできます。学力検査では大きな差がつかないこともあり、特色検査の結果によって、合否が分かれたケースもあるようです。