2011年度入試で何が問われたか<国語>

まず、記述問題と選択肢問題が半々程度で出題された雙葉・フェリス女学院についての分析です。



■雙葉中学校 国語の出題傾向

雙葉は、以前は詩などで感性を見ることを重視した出題が多かったのですが、2007年度ごろからは、論理性を見る問題に変化してきました。今年度もその傾向は変わらず、説明的文章2題と漢字という出題でした。また昨年度は、知識問題が9問出ていたのですが、今年は3問と大幅に減少しました。問題文としては読みやすいものが多く取り上げられています。
対策としては、記述問題が増えてきているので、記述の書き方の習得と、説明的文章を読む力の強化が効果的です。



■フェリス女学院中学校 国語の出題傾向

文学的文章1題、説明的文章1題、漢字8問の出題でした。意見や感想を述べさせる、物語を創造させるなど「考えさせる」長文記述が出題されるのが特徴です。昨年度まで見られた文法問題の大問が今年度はありませんでした。
設問構成は、記述問題8問、選択肢問題14問、抜き出し問題1問、その他2問と、かなり問題数が多いです。毎年、受験者平均点が高く(2011年度:66点、2010年度:68点、2009年度:63点、2008年度:69点 /100点満点)、合格者平均点の+8~10点を目指すとすると、目標点は75~80点と、かなり高く設定する必要があります。
対策としては、ケアレスミスを最小限にし、選択肢問題などは確実に得点を重ねていくことが重要です。また、選択肢・抜き出し・知識問題を手早く解答し、記述問題に充てる時間をより多くとれるよう、時間配分に注意するとよいでしょう。問題文を読むのが遅い場合は、速く読む練習も必要です。そして、「~はどういうことか?」と問われる問題に対する記述の仕方の重点演習と、「考えさせる」長文記述問題への対策が必要です。感情・感覚ではなく、論理的思考ができることが求められています。

最後に、選択肢問題と抜き出し問題が中心の渋谷教育学園幕張・早稲田高等学院・女子学院について解説します。



■渋谷教育学園幕張中学校 国語の出題傾向

物語文1題、説明的文章1題の出題でした。記述問題3問、選択肢問題8問、抜き出し問題4問、その他5問の構成で、選択肢・抜き出し問題が中心ですが、物語文の記述問題では、文章中の登場人物の気持ちについて問う「感情をつかむ問題」もよく出題されます。年々取り上げられる問題文が難化しており、合格者平均点が、2009年度:67.1点、2010年度:54.2点で、2011年度はとうとう49.5点と50点を割ってしまいました。
当校では、正解と思われる選択肢から、本文の理解を補完することもポイントです。つまり、選択肢が読解のヒントとなるのです。また、物語文のテーマとしては、「友人(友情)」「父母子」が非常に多いので、それらのテーマに注力することも対策になるでしょう。



■早稲田大学高等学院中等部 国語の出題傾向

文学的文章1題、説明的文章1題の出題でした。記述問題3問、選択肢問題4問のほか、知識問題、抜き出し問題、段落に小見出しを付ける問題、並び替え問題なども出題され、バラエティー豊かな設問構成でした。
対策としてはまず、漢字・熟語・慣用句などの出題も多いので、知識問題対策に力を入れることです。また、来年度も同様の傾向の出題が続く可能性がありますから、バラエティー豊かな設問や、「手を動かして考えをまとめる」ことが必要な出題に慣れ、落ち着いて対処できるようにしておくことも大切です。



■女子学院中学校の国語 出題傾向

説明的文章2題、文学的文章1題、漢字の出題でした。以前に比べて記述問題が増加している傾向はありますが、全体的には選択肢問題、抜き出し問題が中心の出題です。40分という短い試験時間の中に設問が多くあるので、テキパキと解いていかないと時間が足りなくなるかもしれませんが、1問1問は取り組みやすい設問です。問題文を速く読む練習をして、答案作成をスピーディーに行い、1つの設問に固執しないことが大事です。
知識問題が減少している一方で、記述問題が増加していますので、記述問題に対する十分な準備が必要です。また、説明的文章を読み慣れておくことも大切です。


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2011年度の国語の出題を、「記述問題中心」「記述問題と選択肢問題が半々程度」「選択肢問題と抜き出し問題が中心」の3つの型に分けて、各学校の傾向を解説しました。

「記述問題中心」の出題では、当然のことながら記述問題の対策が必須です。「記述のパターン(=文章の組み立て方)」をマスターし、指定文字数の多い長文記述が出題される学校の場合は、「どこまで」に「何」を「どのくらい」書くのかなど、文章の構成を意識して書く練習をしておきましょう。

「記述問題と選択肢問題が半々程度」の出題では、まず選択肢問題を速く確実に解くことがポイントです。そしてじっくり記述問題に取り組める時間をつくりましょう。このタイプの学校では、選択肢問題ではあまり差が出ないため、合格できるかどうかは記述問題で決まるといっても過言ではありません。記述問題の対策をしっかりとしておきましょう。

「選択肢問題と抜き出し問題が中心」の出題では、1つの設問にこだわりすぎないことが大事です。時間を意識しながら問題文を読み、確実に設問を解いていくようにしましょう

いずれにしても、志望校の出題の特色をじっくりと見極め、その対策を考えて臨むことが必要です。国語は短期間でも得点を伸ばせる教科ですので、最後まであきらめないで取り組むことも大切です。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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