グローバル社会では通用しない「フリーライダー」とは?
時間のある夏休みこそ、来春の高校合格のことだけではなく、長いスパンでの子育てについて考えるいい機会。そこで、安田教育研究所の安田理氏が、先を見据えた子育てにおいて保護者が心がけるべきことをアドバイスする。
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企業社会では「ネガティブな発言ばかりして、新しい仕事、難しい仕事に手を出そうとしない社員」「トップの話をそのまま部下に伝えるだけで、付加価値を生まない中間管理職」などを「フリーライダー(無賃乗車)」と呼ぶことがあります。しかし、最近この言葉の別の使い方に出くわしました。
とあるグループディスカッション形式のワークショップに参加した時のこと。一般的に、初対面同士だと、進行役そのものが譲り合ってなかなか決まらないし、指名されてから初めて意見を言う人が多いものです。ところがその時は、「私がリーダー役やります」と、早々に立候補する女性がいたり、参加者全員(3分の2は女性)から積極的に意見が出たりしました。
ワークショップ後、失礼ながら「みなさんよくしゃべりますね」と感想を述べたところ、一人の女性から「私は海外生活が長かったのですが、海外ではこうした場で自分の意見を言わなければ、『フリーライダー(無賃乗車)』と言われて、次の会に呼んでもらえません」と言われてしまいました。
これから「グローバル社会」に巣立っていく子どもたちには、「フリーライダー」と言われないためにも、自分の頭で考え、それを積極的に発言するクセをつけてもらいたいものです。
そのためには、普段の生活の中でも、何事も親が決めてしまうのではなく、「あなたはどう思うの?」「あなたの意見を聞かせて」……とする姿勢が大切なのではないでしょうか。