めまぐるしく変化する高校事情 現在の生徒の実態に合わせたタイプが開校[高校受験]



■都道府県独自のカタカナ名称の学校も

 都道府県によって名称は異なりますが、現在の生徒の実態に合わせた、特色のある学校を設置しているところもあります。それらにはカタカナの名称が付けられていることが多いです。


たとえば東京都には、下記のような学校があります。
・チャレンジスクール:中学校時代に学校生活になじめない等の理由から、能力を十分に発揮できなかった生徒などが対象。無学年制で3部制(午前部・昼間部・夜間部)の総合学科。
・エンカレッジスクール:中学校時代に学力面などで課題を抱えていた生徒などが対象。
少人数・習熟度別授業、体験学習重視の普通科。「元気付ける」という意味の名称は、まさに「名は体を表す」です。


 こうした名称は都道府県ごとに違うので、ご自分の県ではどのような名称が付けられているのか、教育委員会のHPなどで確認してみてはいかがでしょうか。
 なお、「チャレンジスクール」「エンカレッジスクール」のようなタイプの学校は、学校の性格から入試において学力検査は実施されていません。


■勉強内容も大きく異なる

 以前なら、職業科の専門科目を除けば、どこの高校でもほぼ同様の科目を勉強していました。教室で机に向かって、1時限=50分の現代国語・古典・地理・歴史・数学・物理・化学・英語・音楽……といった授業を受ける姿は、全国どこの高校でも普通に見られた光景でした。

 しかし現在、学校によっては、1時限の授業時間が30分だったり、体を動かすことを主とした体験型の授業が多くなったりしています。体験型では「フードデザイン」「ガーデニング」など、従来の概念では高校の科目とは思えないものも存在しています。

普通科の高校にも、専門学科ほどではないにせよユニークな科目を学べる「コース」を用意している学校がたくさんあります。たとえば、愛知県の日進高校には「人間環境コース」が、同じく岡崎北高校には「コスモサイエンスコース」が設置されているといった具合です。

 このようにひと口に「高校」といっても、中身は驚くほど多様化しているのが近年の高校の実情です。
 高校の変化についての続きは、時間を置いてまた触れようと思います。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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