お子さまの私立高校受験のタイプは? (2) 私立高校受験への対策と保護者の役割[高校受験]

 今回も前回に引き続き、私立高校受験について、整理しながらお話ししましょう。

3. 私立が第一志望で、他の私立、公立も受験
 前回お話しした「1.私立が第一志望で、推薦入試で受験」「2.私立が第一志望で、一般入試の『単願』で受験」のような受験のしかたをする受験生は、学力に自信がある上位層に多く、受験校も難関国立校や私立進学校、有名私立大学付属校が中心になります。
 高校受験生の多くは、1、2のような私立高校1校、4のような公立高校1校、私立高校1校をそれぞれ受験するパターンが多いのですが、この私立が第一志望で、他の私立、公立も受験するというパターンの受験生は、かなり多くの校数を受験します。首都圏でいうと、早稲田大学や慶應義塾大学の付属校を4校も、5校も受けるケースです。
 当然のことながらこうした受験生は、公立高校も難関校を受験することになります。各都道府県の公立高校で、難易度の高い高校ほど試験当日の欠席者が多くなるのは、難関の国立や私立進学校、あるいは有名私立大学付属校に合格した、このパターンの受験生が休むからです。


こうした方法で高校受験をする場合の注意点
  • 難関校ばかりを受けがちになるので、必ず押さえとなる安全校を用意する。
  • こうした難関私立高校ほど入試問題が個性的。しかも公立高校が5教科であるのに対し3教科であることが多くなっている。入試問題への取り組みの負担が大きいことを覚悟しなければならない。
  • たくさん受けるのだから「どこかに合格できるのでは……」という発想をする保護者がいるが、受験は数を撃てば当たるというものではない。どこを本命とするのか、対策の中心を明確にする必要がある。

4. 公立が第一志望で、私立は「併願優遇」で受験
 中3生に「進路希望調査」を実施すると、全国的に75~80%の受験生が公立高校を志望しているのが現実です。つい最近(2012年11月)発表された、埼玉県の「中学校等卒業予定者の進路希望状況調査」の結果でも、全日制高校進学希望者のうち81.9%が公立高校志望者でした。ですから、このパターンの受験生が多数派になります。この場合の注意点は、以下です。

  • このパターンで受験する場合も、推薦入試におけるのと同様の出願基準(調査書の成績)がある。推薦入試も行っている私立高校の場合は、推薦入試での出願基準より高くなるケースが多い(推薦入試の基準が5教科20であれば21、9教科30であれば32といった具合)。
  • 「併願優遇」のため、私立高校はその高校しか受験できない。公立高校に不合格だった場合は必ず入学する。

5. 公立が第一志望で、私立は何校か受験
 まったく何の制約もなく受験するパターンです。公立高校が第一志望であっても、私立高校を挑戦校、確実校、安全校といくつ受けてもいいわけです。1、2の場合、多くの都道府県では12月中に、中学校の先生と私立高校との間で話し合いが行われており、ある程度合否の目安がついています。しかし、このパターンの場合には、これからいくらでも変更が可能です。実際、12月以降、特に男子に顕著ですが、急激に伸びる受験生もいます。ですから、公立高校の併願校受検という意識だけでなく、挑戦校にもチャレンジするくらいの意気込みでいたほうがいいのではないでしょうか。そのほうが公立高校に関してもよい結果を得られるケースが多いように感じています。
 ただし、不調な時でも合格する可能性の高そうな安全校を、必ず1校は受験してください。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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