中学受験専門家 受験生減少で採点が甘くなっている可能性指摘

昨今、小学校で習う基本問題をクイズ形式で問うテレビ番組が人気を集めている。視聴者の大人でもすぐには答えられないことの多いこれらの問題だが、特に多いのが時事問題や社会科の知識を問う問題だ。中学受験や小学校の授業で習う社会科の知識は、一般教養として大人になってからも役立ち続けるもの。そんな社会科の問題に関し、Benesse教育情報サイトでは、首都圏を中心に国・私立中学校のべ119校の2012年度社会科入試問題を徹底分析し、文教大学専任講師の早川明夫氏が解説している。

 

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早川氏はまず、問題の難易度と出題する学校の意図について次のように話す。

 

「全体的に基礎・基本の問題が増加傾向にあります。『正確な知識と、基礎・基本の学力の定着を見たい』という学校からの思いが伝わってきます。この『正確な知識』には漢字で正確に書けるか、なども含まれます」

 

早川氏によれば、特定の中堅の男子校では難問も出題されているそうだが、「みんなができない問題」と言えることから、これらの問題では差が付かず、対策をする必要はないとしている。

 

また、問題の形式に関しては、記述問題の出題が増加傾向にあるとのこと。男子校で80%、女子校で92%、共学校で77%と、いずれも高い割合で出題されているようだ。

 

記述する内容で最も多いのは「理由を問う問題」。 普段から、「なぜ?」「どうして?」と考えながら教科書や参考書を読むくせをつけることが必要とされている。次いで多いのが「資料の読み取りの問題」で、最も少ないのは「用語の説明問題」。単なる暗記ではなく、考える力を求めていることが伺える。

 

そして早川氏は、用語の漢字指定についても解説した

 

「約53%の学校が、用語を書く際に漢字指定をしています。これは昨年度の70%から大幅に減少しました。正確な理由はわかりませんが、受験生の減少などから採点が甘くなっている部分もあるのかもしれません」

 

しかしながら、漢字は表意文字。漢字を覚えることによって意味が理解できることもあることから、できるだけ漢字で正しく書けるように学習することが望ましいと早川氏はすすめている。

 

出典:問題の難易・形式の分析 <社会> -ベネッセ教育情報サイト

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