問題の難易・形式の分析 1[2012年度入試で何が問われたか<社会> 「社会科のアンテナ」を張って力をつける 第2回]
受験生、そしてその保護者が、志望校を決めるとき、重要な要素のひとつとなるのが、その学校の教育方針や校風が子どもに合うものか否か、ということだ。そこで、学校案内などを見て、志望校の教育方針や校風などを調べるわけだが、なかなか深く理解できないでいる保護者も少ないという。一方の学校側も、より深くその学校を理解してもらうべく、さまざまな工夫をしているという。森上教育研究所を主宰する、森上展安氏が、最近の傾向を説明する。
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学校では、学校案内を少しでも受験生・保護者に理解してもらうために写真を多用して文字を少なくしているようだ。確かに『学校での生活・校風』を写真で理解させるということは実態よりも美化させる危険もあるが、わかりやすさという点では良いと思う。しかし、『教育方針』を写真でイメージさせること自体が難しく、受験生・保護者が理解するためには、文字による詳しい説明も必要なのではないだろうか。
学校案内と資料集に分けている学校も多い。学校案内では、写真や絵を多く使用し、文字はできるだけ抑えて少なめにすることで、全体的なイメージをつかんでもらい、資料集では文字や表などで、教育方針や具体的な教育内容を詳細に解説している。学校案内では比較的わかりにくい入学後の学校生活のイメージを写真で示すことで「学校での生活・校風」を理解してもらう工夫がある。学校案内に資料集のページが載っているものもあり、詳しく知りたいときは、すぐ資料集を参照できて便利だ。
たとえ、志望校の教育方針や校風が理解でき、我が子に合っているかどうかがわかったとしても、最終的な進学先は、我が子に合っているかよりも偏差値で決定する保護者が多いように思える。たとえば、第1志望が不合格になった場合は、ほとんどの受験生・保護者は、合格した学校の中で最も偏差値が高い学校を進学先として選ぶことが多い。偏差値だけで進学先を決めるのであれば、「我が子に合っていない学校」に入学することにもなりかねない。