2012年度入試で問われたこと 1[2012年度入試で何が問われたか<国語> 「理性」と「感性」に注目して国語力を上げる 第1回]

以下は、2012年4月に開催された森上教育研究所主催「わが子が伸びる親の『技』研究会」セミナーでの平山入試研究所・小泉浩明先生の講演を抄録したものです。
ご家庭での国語の勉強に、ぜひお役立てください。

※対象校として首都圏の国・私立中学校を中心に83校を選び、167問題を分析しました。偏差値は四谷大塚の「2011年合不合判定テスト第4回」を使用し、共学の場合は男女平均値としています。



2012年度入試で問われたこと 1

●データと分析
(1) 設問分析


 2012年度の国・私立中学校を中心とした国語入試問題の設問の分析を行いました。その結果が次の表です。





 2012年度入試で特筆すべきことは、上位校(偏差値55~60)と中堅校(偏差値54以下)において、記述問題が減少したことです。減少した記述問題の代替えとして、上位校では抜き出し問題が、中堅校では選択肢問題が増加しています。その結果、やはり全体として若干易しくなったという感触があります。
 その理由の一つとしては、一つの学校での試験回数の複数化・合格発表の即日化への対応ということが考えられます。ただし、今年度の反動で、来年度は記述問題数が増加する可能性もあるでしょう。

(2) 文種分析
 次に、2012年度の入試問題で取り上げられた文章の種類を分析しました。その結果が次の表です。



 表を見てわかるように、説明的文章が増加し、物語文、韻文(解説文を含む韻文)が減少しました。特に、詩を出題する学校は非常に減ってきています。塾で学習する割に、詩は出題されません。
 最も力を入れるべき出題分野は、説明的文章です。特に上位校以上では、文学的文章から説明的文章への移行が目立ちます。たとえば、武蔵中は、物語文で心情を問う問題が定番だったのですが、2011年度、2012年度と2年連続で説明的文章が出題されました(2011年度は、なだいなだ氏の「わが輩は犬のごときものである」、2012年度は鷲田清一氏の文章)。また、筑波大附属駒場中では、毎年、物語・説明文・韻文の3点セットが定番でしたが、2012年度は韻文の出題がありませんでした。男子は韻文が不得意である場合が多いので、得点しやすく、受験しやすくなったともいえます。
 ただ、すべての出題が論理的な方向に行っているというわけではなく、全体として見ると、昨年度と今年度は変化の年であり、例年に比べて「感性」「理性」(論理)のいずれかに寄った学校が少なくなかったようです。

 「感性」と「理性」という二つの視点に立って考えると非常にわかりやすいと思います。
(それぞれの学校がどちらに揺れたかについては、「学校別問題分析」の回で解説します)


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