学校案内と「我が子に合った学校」[中学受験]
受験生・保護者が志望校を選定するときに、教育方針と校風が我が子に合うかどうかを見極めることが、重要なことのひとつとなる。どの程度、受験生・保護者は、教育方針と校風を重視しているのか、統計的に確認しておこう。
<表>は、受験生の保護者に行ったアンケート「『我が子に合う学校』かどうかを学校案内のどこで調べましたか?」の結果をまとめたものだ。受験生・保護者が重視したのは、1位が「学校の教育理念・教育方針」(40%)で、2位が「学校での生活・校風」(30%)であった。教育理念に基づく教育方針と学校の生活からわかる校風が我が子に合うかどうかで志望校を選定していることがわかる。
しかし、アンケートの調査では、教育方針と校風を学校案内で理解できる受験生・保護者の割合は60%以下であった。学校では、学校案内を少しでも受験生・保護者に理解してもらうために写真を多用して文字を少なくしているようだ。確かに「学校での生活・校風」を写真で理解させるということは実態よりも美化させる危険もあるが、わかりやすさという点では良いと思う。しかし、「教育方針」を写真でイメージさせること自体が難しく、受験生・保護者が理解するためには、文字による詳しい説明も必要なのではないだろうか。
学校案内と資料集に分けている学校も多い。学校案内では、写真や絵を多く使用し、文字はできるだけ抑えて少なめにすることで、全体的なイメージをつかんでもらい、資料集では文字や表などで、教育方針や具体的な教育内容を詳細に解説している。学校案内では比較的わかりにくい入学後の学校生活のイメージを写真で示すことで「学校での生活・校風」を理解してもらう工夫がある。学校案内に資料集のページが載っているものもあり、詳しく知りたいときは、すぐ資料集を参照できて便利だ。
学校案内を理解できている保護者は少ないせいか、「我が子に合った学校」かどうか、学校案内ではわからないという保護者の声が多い。しかし、学校案内が難解なのではなく、我が子の性格や能力を十分に理解していないことも考えられる。我が子の性格や能力がわからなければ、我が子の長所・強みを伸ばし、短所・弱みを改善することができる教育方針と校風とは、どのようなものかも理解できない。つまり、学校案内で、その学校の教育方針や校風が理解できても、我が子に合っているかどうかがわからないことも、十分に考えられる。
たとえ、志望校の教育方針や校風が理解でき、我が子に合っているかどうかがわかったとしても、最終的な進学先は、我が子に合っているかよりも偏差値で決定する保護者が多いように思える。たとえば、第1志望が不合格になった場合は、ほとんどの受験生・保護者は、合格した学校の中で最も偏差値が高い学校を進学先として選ぶことが多い。偏差値だけで進学先を決めるのであれば、「我が子に合っていない学校」に入学することにもなりかねない。
【受験生の保護者アンケートの結果】
保護者アンケートの設問:
「我が子に合う学校」かどうかを学校案内のどこで調べましたか?(重要と思う順に上位3つを記入)