チャレンジ校に合格したが、授業についていけるか? [中学受験]

保護者から次のような質問がありました。

チャレンジ校に合格したが、授業についていけるか? [中学受験]


(質問)
チャレンジ校の合格を頂きました。発表の当日は嬉しくて家族全員笑顔だったのですが、冷静に考えると、息子の実力値より2段階程度レベルの高い学校です。この学校の合格者のデータを見ますと、トップから最下位までの偏差値の幅は15以上あり、息子の実力は間違いなく最下位グループ……。入学後が勝負という気持ちはありますが、一方で不安を打ち消すことはできません。同じ思いを経験した保護者のかたの経験をお聞かせいただければ、幸いです。

(回答)
確かに、子どもの成績よりも2ランク上の学校に合格すれば、入学後、授業についていけるかどうか不安になるのは当然かもしれません。それほど2ランクの差は大きく、通常であれば、合格する可能性はほとんどないくらいでしょう。もちろん、授業が始まってみればわかりますが、学力は周囲の子どもたちよりも低いと考えるべきでしょう。人よりもたくさん勉強しなければ授業についていけないという現状を認めさせ、授業が始まる前から主体的に勉強に取り組むことが必要なことを認識させるべきです。もちろん、何らかの原因で模試の偏差値が低く出たのかもしれないと考えることはできますが、それでは勉強をしようとする動機がなくなります。

自分の偏差値よりも大幅に高い中学校に合格したケースだけでなく、補欠や繰り上げ合格で入学したことをバネにがんばって、大学入試では周囲の友達よりもランクの高い大学に合格した例は、たくさんあります。そのような逆転をするためには、まず、中学入試では、ほかの生徒よりも成績が悪いであろう現状を子どもに受け止めさせることです。そして、今はそれらの生徒よりも学力は低いが、がんばれば追いつき追い越すだけの実力はあるはずだという強い気持ちを子どもに持たせることです。次に、自分で志望校として決めた責任をまっとうするために努力すべきことを子どもに認識させます。つまり、自分で選んだ学校に合格したのだから、その学校でがんばる責任があると教えます。また、責任感だけでなく、クラスで成績が下のほうであることを悔しいと思うことで、向上心を学ばせるチャンスです。そして、責任感と向上心で主体性を生み出し、主体的に勉強をすることができるようにします。

不安になる気持ちはわかりますが、下位の成績でも、その学校に合格したということは、学校が「努力さえすればついてこられる生徒」と保証していると考えるべきです。実際には、それほど大きな学力の差はないと思いますので、主体的な勉強ができれば、学校で上位に入ることも不可能ではありません。難関校では上位の成績で入学しても、入学後半年間、主体的に勉強をしなければ下位に落ちてしまうこともあります。入学して1年も経てば、入学時の成績よりも1年間でどれだけ学習したかが成績となって反映されると思います。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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