問題文が長いと、面倒くさがって読まない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小3男子(志望校:駒場東邦)のお母さま


質問

問題文が長いと、面倒くさがって読まないことがあります。横について監視していれば仕方なく読んで問題に取り組みますが、じっくり取り組むことをしないので根本的に能力がないのかと思ってしまいます。


小泉先生のアドバイス

「駒東の国語は難しい」という意識を持って、受験に備える。

読解力をつける必要があることはご質問の文章からも明らかですが、志望校が駒場東邦ということであれば、さらにその必要性は高まると思います。駒場東邦の国語の特色は、(1)長文の物語文が1題(2)設問形式は主に記述問題と選択肢問題(3)算数に比べて低い合格者平均点……の3点が挙げられます。

まず、問題構成は読解問題1題で、長文の物語文が毎年出題されています。年度によって読みやすい内容のものもあれば、読みにくいものもあります。かなり長いので、展開はもちろん、登場人物の心情を追いかけていくには、粘り強い読解力が必要になってくるでしょう。「問題文が長いと、面倒くさがって読まない」というのでは困りますから、今から文章に向き合う習慣をつけておくべきです。まだ3年生ですが、何もしないとそのままの状態で高学年になってしまう場合もあります。読書の習慣をつけるのはもちろん、難しめの説明文や論説文にも立ち向かっていける「強い気持ち」を培うことが大切です。
そのためには、とにかく文章を読む機会を増やすことにつきると思います。「根本的に能力がないのかと思ってしまいます」とありますが、こと受験勉強に関しては、「演習」によりそれらの問題点が改善される場合が少なくないと思います。

駒場東邦は物語文のみの出題ですから、間接的な心情表現から登場人物の気持ちを汲み取ることが求められます。しかも、記述問題も半分弱出題されますから、あいまいな捉え方では点数が伸びません。物語文は説明文や論説文に比べて、問題文の内容は捉えやすいのですが、記述形式で答えるとなると、なかなか難しいというのが特徴です。記述問題の書き方などの練習はもちろんですが、それ以前に「どんな気持ちか?」と「なぜそのような気持ちになったか?」をしっかりと読み取れるようにしましょう。そのためには、文脈を正確に読み取ることが必要です。お子さまは「大ざっぱ」な性格ですから、「細かい読み」をさらに意識して文章を読むようにしてください。また、読み飛ばしをしている可能性があれば、「音読」を強化するのも良いと思います。

駒場東邦の3番目の特色としては、国語の合格者平均が低い点が挙られます。【表】からもわかるように、国語と算数の合格者平均点を比べると、国語のほうがかなり低くなっています。たとえば、2011(平成23)年度は19.7点も低くなっていますが、これは何を意味するかと言えば、駒場東邦の国語は算数に比べてかなり難しいということです。おそらく、問題文の内容の難しさと、記述問題形式の設問が半分近く出題されるために、問題全体としての難度が上昇してしまうのでしょう。「駒東の国語は難しい」という意識を持って、受験に備える必要があります。

【表】駒場東邦中の合格者平均点

まだ3年生ですから、受験はまだまだ先のことのように思えることでしょう。しかし、過ぎてしまえば本当にあっと言う間です。6年生になって後悔しないためにも、気になる弱点は少しずつでも改善していってください。そのためには志望校をはっきりさせ、今回のようにその出題傾向を分析することは非常に効果的です。駒場東邦の出題傾向を根気強く説明すれば、長い文章を読むことを嫌がるお子さまも、その弱点を克服する必要性がわかってくると思います。そして、弱点改善のための努力を少しずつ始めることでしょう。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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