できるかどうかは問題との出会い・運だと思っています[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。




質問者

小5女子(性格:強気タイプ)のお母さま


質問

漢字や慣用句等以外の問題ができるかどうかは問題との出会い・運だと思っていますが、具体的に問題集を解くことで力になるのでしょうか。疑問です。


小泉先生のアドバイス

改善すべき具体的な目標を持って問題集を解く

「できるかどうかは問題との出会い・運」というのは、いわゆる「問題との相性の善し悪し」のことでしょう。たとえば、「物語文や説明的文章ならできるが、随筆だとどうも点数が伸びない」などで悩んでいる生徒さんは意外に多いようです。しかし、「苦手」があるということは、逆に考えれば「得意」があるということです。国語全体が苦手な場合より、苦手もあるが得意もあるほうが苦手克服ははるかに簡単です。

たとえば、選択肢問題は得意だが、記述問題が苦手だとしましょう。確かに記述問題は考えて自分で表現しなければならないので、苦手な生徒さんは多いと思います。しかし、選択肢問題が得意であるということは、
(1)問題文がしっかり読めている
(2)消去法など選択肢問題の解法の手順がしっかり確立されている
(3)論理的に考えられる
(4)選択肢を精密に読める
などができているということです。ですから、もし記述問題を得意にしたければ、(1)記述問題の解法の手順を学ぶ、(2)問題文における設問箇所の傍線部とその前後を精密に読むようにする、などを行えば徐々に記述問題に対する苦手意識は克服できてくると思います。

あるいは文種で得手・不得手があるのかもしれませんが、その場合も同じです。たとえば、物語文が不得意な生徒さんは心情表現のとらえ方が苦手です。心情表現とはどんなものなのかわからなかったり、その心情を表現すべき言葉がなかなか出てこなかったりするのです。それらの対処としては、問題文中の心情表現を挙げさせて、表している気持ちを表現する練習を行うと良いでしょう。そういった基本的な練習を行うことで、登場人物の気持ちの推移や出来事によって気持ちが変化する様子を実感としてつかめるようになってきます。また、気持ちはわかるが、それを具体的な言葉にできない場合は、指導者がヒントを出して補助してあげることで、必要な言葉を徐々に身に付けていくようになると思います。

このように、「相性の善し悪し」に悩まれている場合は、まずは何が得意で何が苦手かを分類してみましょう。苦手な設問形式がある場合は、おそらくそれらの「解法の手順」をまだ身に付けていない場合が多いと思います。また、文種で苦手なものがある場合、たとえば論説文が苦手な場合は、論説文の読み方や頻出のテーマに関する知識の不足、あるいはそもそも語彙不足に原因があるかもしれません。いずれにしても、それぞれ自分の苦手に対して、その改善すべき目標をしっかり意識させてください。
このように、具体的な目標を持って問題集を解くことはとても大切です。もちろん、各自に必要な学習内容がしっかり書いてある参考書や問題集で勉強すべきですが、仮に必要な内容が書いてあっても、自分の課題がわかっていないで勉強していると、しっかり自分のものにすることができにくいものです。なぜなら、人は「自分が学びたいものしか学べない」からです。自分の苦手を正確かつ具体的に意識することができれば、克服のための大きな一歩はすでに踏み出していると言えるでしょう。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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