第1志望校が合格ラインに遠い場合の併願校優先順位[中学受験]

12月の時点で、第1志望校がまだ合格ラインに遠い状態のときは、併願校の優先順位をどう考えればよいのだろうか。たとえば、第1志望校の入試まで2か月あまりとなり、最近受けた模試の結果では第1志望校には偏差値がだいぶ不足しており、第1志望校の過去問を解かせてみても合格最低点にも届かない状態だったとする。このまま第1志望校を受験させても良いのか? 合格可能性がある第2志望校の実力相応校が第1志望校と同じ試験日であった場合どちらを優先するべきか? このような悩みを持つ受験生・保護者は多いと思う。

具体的には、合格可能性の低い第1志望校を優先すると、第2志望校も2月2日以降の受験となるため難易度が上がり、合格できない可能性も出てくる。第1志望校を優先したことにより、第2志望校まで不合格となり、第3志望校に通うことになるのは避けたい。しかし、第2志望校を優先すると、これまで第1志望校を目指してがんばってきたのに、結局、挑戦もできなかったことになる。この時期には、このような志望校の選定についての相談が多い。

「第1志望校に合格させたい。これまでがんばって受験勉強をしていたのだから、第1志望校に挑戦だけでもさせてあげたい。もしも、第1志望校がだめなら、少しでも良い学校に合格させたい」と親が思うのは当然だ。しかし、受験に絶対はないので、いくら考えても結論は得られないだろう。確率は低くとも合格する場合もあれば、大丈夫だと思っても不合格になることもある。試験は「ミズモノ」という前提で、それでも可能性を追求して結論を出すべきだ。悩み抜いて出した結論は、それが間違いであったとしても後悔しないものだ。

まず、第1志望校と子どもの偏差値に、どれだけ差があるかを調べてみる。差が5~6であれば、まだ時間があるので、がんばれば合格最低点まで届く可能性はある。受験料は無駄になるが、受験する可能性がある学校すべてに願書を出しておけば、ぎりぎりまで可能性を追求できる。第1志望校の過去問で合格最低点をこれだけ上回ったら受験させよう、と決めておけばよい。偏差値で10以上の差があるとかなり合格は厳しくはなるが、最後まで挑戦させることを子どもに教えるには良いチャンスだ。

子どもの気持ちを聞いてみるとよい。たとえば、(1)第1志望校に挑戦して、第1志望校と第2志望校の両方とも不合格で第3志望校のみが合格の場合と、(2)第1志望校に挑戦せずに第2志望校が合格となった場合で子どもはどのように考えるか。たとえば、子どもがどうしても第1志望校に入りたいと思っていれば、(1)の場合でも子どもは「大学受験では、第1志望に入る!」と考えるかもしれない。また(2)の場合でも第1志望にチャレンジしなかったことを悔いるかもしれない。子どもの気持ちを知ることが重要だ。親子で迷った結果、第1志望校を受験して、不合格になったとしても、残念だろうが後悔はしないだろう。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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