できるだけさまざまな学校に足を運んで[学校説明会の上手な参加の仕方 第4回]

校長先生が生徒のことをよくわかっているか

最近、特定の学校の説明会に毎回参加し、最初から最後までいるという保護者の存在をあちこちの学校で耳にします。しかし、1つの学校に何回も行くよりも、その時間を別の学校を見ることに充ててください。行ったことのない学校のほうが発見もあるし、その学校を見て比較することで、それまで行った学校の別の面が見えてくることもあります。
そして、校長先生や教頭先生の話をじっくり聞いてください。今の子どもたちはどんどん変化し、3年もすると入学してくる生徒のタイプもずいぶん変わります。高校生の時期は内にこもったり反抗的な態度を取ったりと、難しい時期です。人間関係がうまくいかず学校生活が楽しくなくなり、勉強にも身が入らないという子もたくさん見てきました。
学校教育というのは、単にシラバスを作り、カリキュラムを整備して、大学への進路指導をすればいいというものではありません。校長先生や教頭先生の話から、「学校の生徒のことをよくわかっているな」と感じられるかどうか、それも大事なポイントかと思います。



できるだけさまざまな学校に足を運んで[学校説明会の上手な参加の仕方 第4回]


自分なりの視点で見ると、学校の異なる顔が見えてくる

私も最初は外からすぐわかる設備や施設など、学校の“入れ物”から見ていましたが、何百校と学校を見ているうちに、その学校に通っている生徒を見るようになりました。すると意外にも、それまで魅力的だと思っていた高偏差値校や伝統校、話題の学校の生徒があまりいきいきとしていなかったり、元気がなかったり、楽しそうではなかったりする場合があることに気が付きました。 偏差値が高い、難関大学への合格者数が多いということではベストな学校が、必ずしも子ども一人ひとりにとって、楽しく充実した学校であるとは限りません。学校のブランドイメージを維持することを大切にして生徒を管理しているために、生徒が萎縮(いしゅく)している学校もあります。大学合格実績を上げることを最大目標にしてひたすら勉強させているために、生徒が元気のない学校もあります。もちろん、生徒が元気でも、服装や髪形が乱れている学校もたくさんあります。
このように、自分にとって大切な視点を設けるだけで、学校の違う側面、異なる顔が見えてくることは多いのです。いきいきとしているという物差しでなくてもかまいません。たとえば、「きちんと明るくあいさつができる」「他校の生徒よりどことなく落ち着いている」など、自分がこうあってほしいという子ども像に近い生徒が多いかどうかを見てみることをおすすめします。


見学マナーも大切

最近気になるのは、受験生の保護者が何となく「お客さん」という意識でいるのではないかということです。学校が受験生を選ぶのではなく、学校が受験生に選ばれる時代になり、私立高校の中には来訪した保護者をもてなすような雰囲気の学校が多くなってきました。が、学校はあくまで在校生が主役です。お客が主役のレストランやスーパーではありません。
最近の校舎は上履きに履き替える必要がないところが多くなっていますが、そうした場合、ハイヒールやミュールなどは廊下や階段ではけっこう響くもの。授業を受けている生徒のことを考えれば、そうした履物で出かけることや携帯電話での通話、私語などはマナー違反です。
あくまで“見学させていただく”という気持ちが大切ではないでしょうか。保護者の学校・先生を尊重するそうした気持ちが自然と子どもにも伝わり、生活態度もよくなり、学力も伸びるのだと思うのです。
フランスの詩人ルイ・アラゴンがこう言っています。「学ぶとは、心に誠実を刻むこと」。


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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