わかっている所と、わからない所の差が激しい[中学受験]
質問者
小6男子のお母さま
質問
自分の意見を書いて間違えていると嫌で、何を書いて良いかわからず、白紙で出すようです。わかっている所と、わからない所の差が激しく、書いていない所はとことん白紙です。
小泉先生のアドバイス
お子さまの特性を生かし、「論理的」にお話しして納得させる
「書いていない所はとことん白紙」というのは、お子さまのような「神経質」「論理的」なタイプの生徒に多く見受けられます。
まず「神経質」なタイプですが、このタイプは何に対しても≪完璧≫に仕上げようとする傾向があります。コツコツとまじめに勉強や仕事に打ち込みますから、受験勉強に適したタイプとは言えます。
しかしその半面、何らかの理由で完璧に仕上げられないと判断すると、その仕事や勉強を投げ出してしまうという悪いクセがあります。あたかも、何もなかったかのようにフタをして放置してしまいます。試験などで時間が足りないために、本来であれば少しは点数が得られる記述問題を、白紙の状態で答案を提出してしまうのです。
次に「論理的」なタイプですが、物事を的確にやってのける半面、潔すぎる面があります。つまり、自分では無理だと感じるとすぐにあきらめてしまうのです。このタイプの生徒の中には、自信が持てないと何も書かず白紙で出す者も多いようです。お子さまは、これら二つのタイプを合わせ持っていますから、「書いて間違えると嫌」「白紙で出す」という今の状況もうなずけます。
さて、対処としてはいくつかの方法がありますが、今回はお子さまの特性を生かし、「論理的」にお話しして納得させるのが一番かと考えます。
まず、お子さまの性格の「良い点」と「悪い点」を指摘して気付かせることです。たとえば、完全さを求めるあまり、きっちりできない場合は放置しているという状況を具体的に示します。そして、それがいかに問題を大きくするかも理解させます。
また、たとえ完璧にできなくても、80%でも50%でも、あるいはほんの少し「ツメあとを残す」だけであっても、そうした「執念」がとても大切であることを納得させます。ほんのもうひとがんばりによる1、2点の差が、合否の分かれ目になることもあり得るのです。実際にほんの少し「ツメあとを残す」ことで、数点もらえたという体験を重ねさせてください。そうすることで、世の中は「必ずしも完璧でなくても良い」こと、「絶対に~でなければダメ!」という訳でもないこと、「より良い結果を求めることが大切」であることに気付いていくのです。
また、これらの経験は「論理的なタイプ」の「あきらめの良さ」を改善することにも役立ちます。このタイプは、賢い生徒が多いのですから粘り強さを備えれば万全です。
生まれ持った性格は、なかなか直るものではありません。しかし良い面を伸ばし、悪い面を抑えることは可能です。たとえば「神経質」「論理的」なタイプであれば、物事を論理的にきちんと行うという特質を残しつつ、完璧でなくても許せる寛容さを持ち、しかもより良い着地点を求めることに執念を持つということです。これは中学校入試だけではなく、中学校以降の学校生活はもちろん、社会に出てからも求められる資質だと思います。