慣れればある程度グラフの見方ができるようになるのでしょうか[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小4男子のお母さま


質問

グラフなどの問題が苦手です。読み違いや数字の書き違いが目立ちます。慣れればある程度グラフの見方ができるようになるのでしょうか?


小泉先生のアドバイス

「グラフの変化」と「その理由」を考えることが、グラフを扱う時の基本

小学4年生なら、折れ線グラフを勉強しているところでしょうか。グラフを苦手とする生徒も、やはり問題演習量の不足が原因だと思います。表からグラフをかいたり、逆にグラフを読んだりすることに慣れていないので、簡単なミスをしてしまうのです。いくつかのポイントに注意して演習を重ねれば、上手にグラフを読んだりかいたりできるようになるでしょう。

まず、注意したいことは実際に「手を使う」ということです。たとえばグラフを読む問題は一生懸命するのに、表からグラフを作る問題は手抜きをする生徒がたまにいます。おそらく、「めんどうくさいから」あまりやりたがらないのでしょう。でもこのような作業は、グラフの性質を実感するためにとても大切な学習です。そもそもなぜグラフをかくのかと言えば、表ではなかなかわからない数字の変化を、視覚的に形でとらえやすくするためです。それらのことも、表から実際にグラフを作ることでより実感できるようになります。

また、グラフの特徴を考えることも重要です。その時に注目すべき点としては、「たて軸、よこ軸が何を表しているか」「全体の形はどうか(増加か減少か?)」「最高・最低はどこか」「どこが(顕著に)変化しているか」などです。そして「(それは)なぜなのか」を考えるクセをつけると良いでしょう。
たとえば中学校入試の算数では、「水の高さの変化とグラフ」が頻出です。水を入れる水槽(図1)と、その水面の高さを示すグラフ(図2)を与えて、水槽の底面積や満水になる時間などを求めさせる問題です。

【図1 水を入れる水槽】
図1 水を入れる水槽

【図2 水面の高さを示すグラフ】
図2 水面の高さを示すグラフ


水槽は往々にして仕切りがしてあったり、底面が段々になったりしているため、グラフがある地点で顕著に変化します。そしてその変化した点が、問題を解くカギになる場合が多いので、なぜ変化したのかを考える必要が出てくるということです。
たとえば、図1と図2を比べてみて、図2におけるグラフの変化は、図1で最初Aの部分に注がれた水が、ついには仕切りを越えてBの部分に流れこむことを示しています。つまり図2のグラフで(一定時間)水面の高さが変わらない理由は、「仕切りを越えてBの部分に流れこんでいるから」ということになります。このように「グラフの変化」と「その理由」を考えることが、グラフを扱う時の基本と言えるでしょう。

グラフの問題は算数ばかりではなく、理科や社会でも出題されます。特に上位校の入試問題では、グラフを示して理由を問うような「考える問題」が頻出です。また、場合によっては、表を与えてグラフからかかせる学校もあります。そのような現状に対応するためには、今のうちからグラフをかいたり読んだりする練習を積み、さらには特徴をとらえてその理由を考える練習を十分に行うことが大切です。応用力をつける学習とは、実はこうしたものであると思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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