「あなたの意見を書きましょう」という設問に対する答えが苦手です[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小1男子のお母さま


質問

「あなたは、このことについてどう思いますか。あなたの意見を書きましょう。」という設問に対する答えが苦手です。こういう問題は、相手は何を期待しているのでしょうか。


小泉先生のアドバイス

期待していることは、筆者の「イイタイコト」に対する解答者の意見

意見を書かせるタイプの問題は、毎年、何校かで出題されています。今年も首都圏では、出題されている文章と異なる考え方を自分なりに考えて述べる出題が開成中などでありました。大学受験における「小論文」に近いものであり、本来の国語力を試すにはもってこいの問題と言えるでしょう。今後もこのような小論文形式の問題は、増えていくのではないかと思います。記述力はもちろん、自分の考えをまとめてわかりやすく発表する能力も必要ですから、低学年のうちから練習しておくと良いと思います。

小論文の出題形式としては、テーマだけが与えられる場合(例:「『地球温暖化対策としてわたしたちができること』について述べなさい」など)と、問題文を読んでからその内容について問われる場合の二通りあります。前者の場合は、書くべき内容のアイデア(たとえば、「地球温暖化」とはどういうことなのか、またその対策としてわたしたちは何ができるかなど)と、≪小論文の書き方≫を知っていればそれほど苦労せずに書くことができます。小論文の良し悪しはその構成によってほぼ決まるので、構成を意識して何本か(十数本か?)書くと、随分と上手に書けるようになります。
しかし、後者の場合はまず本文を読み、本文の内容を的確に把握する必要があります。そしてその内容について、賛成なのか反対なのかを含め、どのような意見を持っているのかを明確に示すことが大切です。もちろん、そういった意見を持つ理由も論理的に説明する必要があります。問題文を読んで意見を書かせる問題では、これらの一連の作業ができるかどうかが試されます。すなわち、「読解力」と「思考力」さらに「記述力」が必要になるということです。

さて、このような問題は解答者に何を期待しているのでしょうか。もちろん問われ方にもよりますが、出題者が期待していることは、問題文の筆者のイイタイコトに対する解答者の意見と考えて良いでしょう。
ですから、基本的には筆者のイイタイコトに関連付けながら自分の意見を述べるべきだと思います。もしそうでなければ、解答者がどんなに斬新な意見を展開しても、的外れということになってしまう可能性さえあります。そして、案外このようなミスをやってしまうお子さまが多いのではないかと思います。
原因の一つとしては、問いをしっかり読んでいないことにあるのかもしれません。今回のご質問でも「設問に対する答えが苦手」とありますが、何が問われているのかがまだピンと来ていない可能性があります。お子さまが「書けない」と悩むようであれば、まず「何が問われているのか」を確認するのも良いと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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