【回答:鳥居りんこ】家庭学習・家庭内コミュニケーション<その2>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

親子で衝突しないで、やる気をもたせる接し方は?

やる気を維持し勉強に向かわせるには?

子どもにやる気を出させるには?

子どもの勉強を助けるべきか、黙って見守るべきか

親子で衝突しないで、やる気をもたせる接し方は?

親子バトルをなるべく避けつつ、子どもにやる気をもたせる接し方を教えてください。
「火事とけんかは江戸の花」ってくらい、親子バトルは中学受験の花、セットです。
「怒鳴る、泣く、叫ぶ」は当たり前、テキストなんかは(母が)「飛ばす、破く、捨てる」がフツーです。テキストというのは本来、そういう運命をたどるものなのです。それをやったからといって、母親失格と嘆く必要はサラサラないのです。
子育ては本気にならなきゃやっていられません。怒鳴ろうが、叫ぼうが、母の本気に勝るものはない! 本気で大人にぶつかられた子どもは曲がりはしません。
自分を信じて「この道!」と決めたなら、子どもと一緒に悩みながらたどるしかないのです。
とはいえ、大火事はご近所迷惑でもあるがゆえ、怒鳴るのもボヤ程度で小出しにしていたほうがいいですよね。
「やっちまったな…」と思ったら、そのときだけ、ちょっとだけ、やさしくなって、わが子の寝顔に謝る…と。そうやって日々を一生懸命生きるのが中学受験生の母の姿なのです。
母よ、安心して怒鳴っていい!

やる気を維持し勉強に向かわせるには?

塾での成績が上位ではなく、本人のやる気にもムラのある子どもに対し、どのようにやる気を維持させ勉強に向かわせたらいいでしょうか。鳥居りんこ先生は、普通の子どもさんをしっかり支えて成績を向上させ、上位校に合格させたそうですので、どのようになさったのかぜひ伺いたいです。
問いの文章にはまちがいがありますね。「鳥居りんこはやる気のない子どもをムリヤリ机に縛りつけ、強引に中堅校へわが子を突っ込んだ」が正解。

「やる気」って本当に難しいですよね。みんな、ここで悩んでいるといっても過言じゃない。
私は本当によく説教タイムになって、よく怒鳴ってもいましたね〜。怒鳴ってもいましたが、今思い出すに、子どもと一緒に問題を解くことはけっこうやっていたような記憶があります。子どもが小6になると、その問題は私ごときのアホな頭では理解不能に陥り出し、同時にスタートしても子どものほうが速い&正解で母として敗北感を味わうことも多々ありました。でも、これが良かったのかもしれない。子どもが「やった!勝った!(ふっ、母親ってバカでやんの!)」という勝ち誇った目をするのは、正直ムカつきましたが、ああ、こんなに難しいことをやっているんだなぁと心から実感できて、子どもの気持ちに寄り添うことができたようにも感じます。まあ、そのうち子どものほうが大人になって「母に聞いてもどうせわからないから自分でやろう」という気持ちになったようですけど…。それでも私は「見張り」だけは怠らずに、子どもの横に張りついていました。意外と「見張り」は効果があります。ものすごく面倒くさいですが、効果があるんですから、母よ、がんばって「見張り」をしましょう!

子どもにやる気を出させるには?

やるべきことが多すぎて優先順位をつけられず、わからないことを先生に聞きに行けません。どうすればやる気になってくれるでしょうか?
3つのことが重なっている質問ですが、まず「優先順位をつけられない」には母が子どもとの話し合いのもとスケジュールを決めて、それを順守できるように母が上手に誘導することですよね。

「わからないことを先生に聞きに行けない」のは「わからない箇所はわかっている」のか「わからない箇所もわからない」のかを判断することが第一歩ですね。わからないポイントがわかっているならば、そこを先生に聞くように促せば問題解決。恥ずかしがり屋さんには先生に「質問に来るように」と本人に言ってもらえるようお願いする手もありますよね。
わからない箇所もわからない場合は、母がひも解きましょう。どこで行き詰まっているのか、テキストの基本からたどって解明しましょう。

「どうすればやる気になるのか」…これは多くの先生が「『わかった!』という喜びをもつこと」と挙げておられます(りんこ調べ)。これは、ものすごく難しい問題ですが、私は知的喜びを感じる前段階の処置として、ごほうび作戦を実行しました。机に座っていたら5ポイント、基本問題ができたら20ポイントという具合に低いハードルを用意して、それをクリアしたら本人が望む「ゲーム時間」だったり「マンガ本」だったりをごほうびにしました。なんでもいい。食いついてくれたらこっちのもの。試行錯誤をくり返しながら、やる気を引きだしましょう!

子どもの勉強を助けるべきか、黙って見守るべきか

試験前などに、親が子どもの勉強に積極的に参加するべきなのか、それとも黙って見守っていたほうがいいのかを教えてください。まだ自分で勉強法を確立できず、理科・社会などの暗記物を見ていると、はがゆくなり資料を作ってあげたくなってしまいますが、将来のことを考えると見守るべきなのかなと迷っています。
自学自習ができる子は成績もいいんですよ〜。そういう子の母の仕事は健康管理だけになりますから、できない子の母からみればヨダレものですよね。で、問題は自学自習ができない場合です。
これはもう母の手が加わってもしかたがない。なぜなら成長をのんびりと待っていてあげられる時間がないんです。中学受験には母が援護射撃をする場面が多々あるんですよね〜。

私の戦法はトイレ貼り紙作戦です。大きな日本地図を買ってきて、そこに直接、重要語句を記入しました。“屋久島→世界遺産”とか、“種子島→鉄砲伝来”とかを「見て!頼む、記憶に残ってくれ!」という気持ちで書いて貼りました。それから算数の単位計算であるとか、理科の星座名であるとか、国語の同音異義語なんかもベタベタ貼りました。わが子がそれで記憶したかどうかはわかりませんがひとつ言えるのは、これをやると母が落ち着く、ということです。母が落ち着いて子どもに接することができるかどうかも、中学受験では重要なことなのです。

自学自習ができれば一番いいんですよ、一番いいです。それを促せれば一番いいんですが、待っていられない母たち、「自学自習に欠けるという問題は、中学に入ってまたゆっくり考えましょう!」

プロフィール



人気サイト「湘南オバさんクラブ」主宰。自らも母として中学受験を経験し、1000人以上の中学受験生の母親たちの「不安」や「迷い」に対する、りんこさん流「元気になるアドバイス」が大人気。ブログは、情報サイト「オバケット」で。

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