千代田区立九段中等教育学校の平成21年度入試報告会

千代田区立九段中等教育学校が教育関係者向けに開催した「平成21年度の入学者選抜に関する報告会」に参加してきました。その内容をご報告します。九段中等教育学校への進学をお考えのかたはもちろん、九段以外の学校を志望のかたも、適性検査問題のねらいや講評、誤答例などはきっと参考になるはずです。


平成21年度の変更点とねらい

九段中等教育学校では平成21年度、適性検査について以下の2点を変更しました。その理由を先生が説明してくださいました。

変更点1 報告書記載の対象学年を「6年生のみ」→「4・5・6年生」に変更
理由:6年生だけ努力した生徒ではなく、安定して学習を積み重ねてきた生徒に入ってきてほしいとの意向から変更しました。
変更点2 適性検査時間を45分→60分に変更
理由:これまでの適性検査で、時間がなく解答を書ききれなかった受検生が多かったので、存分に書けるようにとの思いから検査時間を長くしました。

平成21年度適性検査の講評と誤答例

報告会では、実際の適性検査問題を取り上げながら、受検生の取り組みの様子や誤答例について先生が解説してくださいました。その一部をご紹介します。


適性検査 I-1 聞き取り問題

ねらい他人の話を落ち着いて聞き、自分の頭で考えて判断できるかどうかを見る
内容日本の伝統的な食事について述べた文章を聞き取り、質問に答える内容
学校による講評受検生はおおむね集中して話を聞き、メモ用紙にメモをとっていました。この問題で聞き取りができた受検生と十分できていない受検生とで得点差が開いてしまったようです。

<編集室がアドバイス!>

  • 聞き取りは、落ち着いて集中して聞こう!
  • 聞き取った内容はメモをとろう!


適性検査 I-2 おせち料理の問題

ねらい幼少期から家庭でのさまざまな体験やお手伝い、家族との会話を大切にしてほしいとの観点から作成しました。
内容おせち料理の重箱への詰め方について、解答用紙に書き入れる問題。おせち料理に込められた願いを書く問題。
学校による講評問1のおせちを詰める問題はほとんどできていましたが、仕切りをひっくり返して詰めてしまった解答がありました。直線は定規を使って正確にひくことも求められています。問3では選択肢の指定があるのに指定外の料理を選んだ受検生や、くわいを果物と勘違いしてしまった答案も少数ありました。

<編集室がアドバイス!>

  • 伝統行事や季節の話題、時事問題など家庭での会話を大切に!
  • 問題文を正確に読みとろう!


適性検査 II-1 土地の測量の問題

ねらい定規を使っての実測や、面積を求める算数の力を見る
内容定規を使って実測したうえで計算し、さらに計算式を記述する
学校による講評合格者と不合格者で大きく差が出た問題です。実測は意外にできていませんでしたが、合格者はほとんどできていました。問2の面積分割は正確に直線や垂線をひくことや、底辺と高さを正確にとれるかを見た問題です。高さを正確に自分でとることができていない答案が目立ちました。自分で課題を設定するとなると迷ってしまったり、直感で直角でない角を直角として計算してしまったり、直感で平行としてとらえた答案が誤答のほとんどでした。

<編集室がアドバイス!>

  • 高さ・底辺の関係を正確に理解しよう!
  • 面積の問題に限らず、多面的な見方、課題発見・解決力を身につけよう!


適性検査 II-3 玉川上水と地形図

ねらい小学校4年生の学習ができているか、地形図の読み取りや等高線の構造が理解できているか、論点をとらえて記述できるか、を見る。
学校による講評玉川上水については東京都の小学校社会科の副読本にも大きなテーマとして取り上げられており、4年生の学習をしっかりした受検生には簡単だったと思われます。玉川上水の知識がなくても、問題用紙の地形図を読み取り、等高線の構造が理解できていれば解答できたでしょう。問3の誤答例では、環境問題にからめて自分の知っていることを書き並べた答案が多かったです。記述力はさることながら、論点をずらさずに書かないと得点になりません。

<編集室がアドバイス!>

  • 小学校の学習はすべてしっかり理解しておこう!
  • 記述問題は「知っていることをなんでも書けばいい」のではなく、なにが問われているのかをきちんととらえることが大切!

プロフィール



「進研ゼミ小学講座」は2020年新課程に対応して、リニューアル。基礎から応用までの学力向上はもちろん、自ら学ぶ姿勢を身につける。
学んだ知識を使って、自分なりの答えを導き出す。そんな体験を繰り返すことで、「自ら考え表現する力」を育んでいきます。

子育て・教育Q&A