褒めるより効果大! 子どもに「ありがとう」と感謝を伝えよう!
子どものしつけでは、「褒める」「叱る」の使い分けを意識されているでしょう。この二つに加え、ぜひ取り入れていただきたいのが、望ましい行動に対して「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えること。子どもの中に自律性や主体性が育っていきます。
「叱る」と「褒める」は、実は同じ行為!?
一般に、褒めて育てるほうが子どもは伸びやすいと考えられていることもあり、「叱る」より、「褒める」を増やすように意識されているかたは多いでしょう。普通、子どもは、保護者から認められたいという強い気持ちをもっています。そのため、子どもの行動に対し、「よくできたね」「すごいね」などと褒めると、「これは保護者にとって望ましい行動である」と理解し、もっと期待にこたえようとして同じ行動を繰り返そうとします。
一方、「早くしなさい」「それをしてはだめ」などと叱ると、子どもは「これは望ましくない行動である」と学習します。「どうしてだめなのか」を理解することもあるかもしれませんが、単に「叱られたくないから」という理由で行動を改める場合もあるでしょう。
一見、叱るのと褒めるのは正反対のように思えます。しかし、見方を変えると、どちらも保護者の価値観に沿って子どもを動かそうとする行為と言えます。いわば、どちらも「上から目線」の評価であるわけです。
もちろん、いつでも子どもの思うままに行動させるわけにはいきません。しつけとして、ある程度、保護者の考えに従って動かすことは必要でしょう。しかし、叱るにしても、褒めるにしても、常に保護者の価値観に沿って行動するように促すだけでは、子どもの行動原理は「褒められたい」「叱られたくない」という保護者を軸としたものだけになります。そうなると、子どもの中に自律性や主体性が育ちにくくなります。
子どもに感謝の言葉を伝えると自律性や自主性が育つ
それでは、どのように子どもに接するのがベターと言えるのでしょうか。「叱る」「褒める」とともに心がけていただきたいのが、「感謝する」です。
叱る、褒めると違い、感謝の気持ちを伝える際は、対等な関係がベースとなります。それゆえに子どもを認める気持ちが伝わりやすくなります。
例えば、おもちゃを片付けられたとき、「よくできたね。えらいね」などと褒めると、子どもはうれしそうな表情を浮かべるでしょう。翌日もきちんと片付けてくれるに違いありません。その根底には、「もっと褒められたい」という気持ちがあります。ただ、褒めない日が続けば、自主的に片付けをしない子どももでてくるはずです。
一方、「お部屋がきれいになって気持ちいいよ。ありがとう」と感謝の言葉を伝えると、子どもはどう感じるでしょうか。親に認められたうれしさに加え、「部屋を片付けると、みんなが喜んでくれる。家族のためになることができた」といった、褒められたときとは異なる喜びを感じるはずです。こうした気持ちが強まると、「褒められるため」ではなく、「家族に喜んでもらうため」に片付けようと考えるようになるはずです。そのようにして徐々に自律性や主体性は育っていくのです。
これまでは褒めていた場面で「ありがとう」と伝えよう
これまでは褒めていた場面で、「ありがとう」という言葉を伝えることから始めてみましょう。きょうだいに優しくできたとき、「ごめんなさい」と謝れたとき、嫌いなものを食べられたとき……。子どもに感謝の言葉を伝えたくなるタイミングは、きっとたくさん見つかるはずです。