【回答:森上教育研究所】受験対策<その5>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。

今から2教科受験に変更は危険ですか?

志望校が決まっている場合の対策は?

今から2教科受験に変更は危険ですか?

4教科での中学受験を考えていましたが、受験直前の今から2教科受験に変更するのは危険でしょうか。個別指導の塾に行っていますが、算数が苦手なため、じっくり理・社にかける時間が足りません。2教科にしたほうが本人の負担も減りますが、社会は得意教科なので伸ばしてあげるほうがよいでしょうか?
入試が近づいてくる時期になると、理科・社会が負担となって4教科から2教科に受験科目を減らす子どもが多くなります。受験科目を減らすことが良いことか・悪いことかは志望校と受験生本人の学力によります。志望校に合格することが目的ですから、受験科目を減らすことで合格する可能性が高くなれば良いことですが、合格する可能性が低くなれば悪いこととなります。

お子さんの場合は、算数が苦手で理・社にかける時間が足りないということですが、算数の学力は急につけられるものではないと思います。むしろ理科・社会は、短時間で得点力がつけられるので、理科・社会を得点源にすべく、理科・社会に重点を置いた学習の時間配分に変えていくことで得点力を伸ばしてはいかがでしょうか。現在の学力で志望校を4科目で受験した場合と志望校(または志望校と同レベルの学校)を2科目で受験した場合、どちらのほうが合格する可能性が高いかは、過去問を時間内に解いてみればわかります。合格最低ラインに近いほうの合格可能性が高いことはいうまでもありません。

お子さんがどれだけ算数を苦手にしているかによりますが、社会が得意科目であるならば、なおさら4科目で受験したほうが有利なのではないかと思われます。つまり、「今から2教科受験に変更することは危険」だと思います。

志望校が決まっている場合の対策は?

現在6年生です。志望校が決まっていますが、どういう対策をすればいいのかわかりません。
志望校は実践女子学園中学校です。夏休み明けから塾には行く予定ですが、家庭学習では何をしたらよいでしょうか。
実践女子学園中学校は、四谷大塚の偏差値を見ると50あり、決して合格することがたやすい中学とは言えません。どういう対策をするかは「己を知り、敵を知る」ところから始めるべきでしょう。

最近、模擬試験は受けていますか? 模擬試験を受けていれば、志望校の合格可能性がどれだけあり、自分がどの科目・分野単元が強いか・弱いかがわかるはずです。
模擬試験を受けていなければ、これから受験し、結果の返却を待っている時間が惜しいので、実践女子学園の過去問を2〜3年分解いてみてください。

合格最低点と比べてどれだけ得点できたか? どの科目・分野単元が強いか・弱いかがわかり、ケアレスミスや時間配分のまちがいがなければどこまで得点できるかもわかります。同時に、実践女子学園中学校の出題傾向もわかるので、これから何をすべきかが明確になります。

これから塾に通う予定ということですが、入試まであと数か月というこの時期に、塾のカリキュラムの途中から参加することになり、これまでの授業を受けていないことには学力がある生徒でも、ついていくことは難しいと思います。むしろ、個人に対応してくれる個別指導または家庭教師で受験対策を行うべきでしょう。

その場合、その指導にいても実践女子学園の過去問を解いた結果をもとに学習計画を練るべきで、家庭学習についても何をすべきかその学習計画の中でわかると思います。

プロフィール



中学受験と私塾、中高一貫の中等教育と私学を対象とする調査・コンサルティング機関。私塾に『中学受験研究』、私学に『私学中等教育』を月刊で発行している。「わが子が伸びる親の『技(スキル)』研究会」を主催している。

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