【回答:森上教育研究所】志望校選び<その2>

「中学受験は親子の受験」とも言われ、保護者のかたの役割はとても大きいもの。受験準備が進むにつれて、心配事や気がかりもいろいろ出てくるでしょう。よくある相談事例について、専門家の先生がたや、合格家庭の先輩保護者のアドバイスを集めました。


【回答:森上教育研究所】志望校選び<その2>


大学進学より専門学校向きの娘が、個性を伸ばせる進路は?

自立と保護のバランスを測る着眼点は?

学校の特徴ごとに、違いや適性の見分け方を教えてください

大学進学より専門学校向きの娘が、個性を伸ばせる進路は?

手先が器用で、将来は大学進学よりも専門学校向きの娘が、個性を伸ばしていける進路を模索しています。良いアドバイスをお願いいたします。
手先が器用であることは、多くの分野で有利な個人の能力です。
手先が器用=専門学校という発想は、短絡的ではないかと思います。手先が器用な娘さんの能力を、本人がやりたい仕事に活かすことができるようにすべきではないでしょうか。手先が器用なことを活かす仕事は、理系の大学で学ぶ必要がある場合も多いので、まだ将来の職業が決まっていない時点では、文系だけでなく理系の大学にも合格実績がある学校を考えてみてもいいでしょう。

個性を伸ばしていける進路を模索するのであれば、キャリアデザインに力を入れている学校をおすすめします。中高6年間で将来の職業を考え、やりたい職業が決まれば、それを目標として大学受験に取り組めます。目標のある受験は、モチベーションが高まり、大きな成果が期待できます。キャリアデザインに力を入れている学校は、学校案内だけでなく合格実績を見るとわかります。合格している学部・学科のバリエーションが多いのです。いろいろな可能性を考え、学校を探してみてはいかがでしょう。

自立と保護のバランスを測る着眼点は?

生徒の自立を促しながら目の行き届いた教育を行う学校の、バランスを測る着眼点を教えてください。
他にも教育方針の分類方法はあると思いますが、難関校・上位校の在籍者アンケートで教育方針を「学習面重視」と「精神面重視」と「その中間」の3タイプに分けてみました。相談の文面の「生徒の自立を促しながら目の行き届いた教育を行う」は、「その中間」の校風です。偏差値が高めの学校は「自主性重視」の校風が多く、そうでない学校は「面倒見重視」の校風が多い傾向がありますが、注目すべきは、アンケートの結果では男子・女子の御三家の在籍者のほとんどが在籍校を「中間」の校風と感じていることです。

「中間」の校風では、具体的なバランスのとり方があります。下の表を見ると、その中でも、「自主性重視」と「面倒見重視」のバランスのとり方として、「3.『自主性重視』を主体に、必要に応じて『面倒見重視』にする」が33%と最も多く、男子・女子の御三家のほとんどの在籍者が「3」のバランスのとり方と答えていました。

アンケートの分析を行う場合、最も大きな割合に着目します。最も大きな割合は、多くの回答者に支持された事項となります。今回のアンケートでは多くの場合、最も大きな割合の事項を選んだ回答者は、他の設問で「満足度が高い」など、肯定的な回答をしています。ですから「3」のようなバランスの「その中間」の校風が優れていることになります。
あなたが在籍している学校の校風が「その中間」の場合、最も近いのは下記のどれですか?

学校の特徴ごとに、違いや適性の見分け方を教えてください

共学校・男子校・女子校、大学附属校とそれ以外、少人数の学校・大人数の学校など、違いや適性の見分け方・判断のしかたを教えてください。
共学校・男子校・女子校の違いだけでも、多岐にわたり、ここで回答できる分量ではありませんが、共学校・男子校・女子校の、在校生と先輩の関係から校風の違いをみる興味深いデータがあるので、紹介します。お子さんの適性に一致する学校選びの参考になさってください。

男子校は、先輩との「上下関係がある」・「礼儀正しい」学校はそれほど多くなく、「お互いにフランク」「対等でリベラル」な学校の数は、女子校・共学校の中間です。先輩との「厳しい」関係の学校は、ありません。
結論として、男子校には、きちっとした先輩との関係のある学校は少なく、かといって「礼儀正しい」こともある程度は必要とされるということです。

女子校の先輩との関係は、比較的「上下関係がある」学校が多く、「礼儀正しい」ことが必要で、「お互いにフランク」「対等でリベラル」ではないです。先輩との「厳しい」関係はないようですが、それでも男子校・共学校に比べると「まあ多い」の割合は高いのです。
結論として、女子校には、比較的先輩との関係がきちっとした学校が多いようです。

共学校の先輩との関係は、「上下関係がある」学校が少なく、「礼儀正しい」ことは必要ですが、「お互いにフランク」「対等でリベラル」な関係の学校も比較的多いです。特に共学校では先輩との「厳しい」関係は「あまりない」が82%と最も多くなっています。
結論として、共学校には、先輩との関係が温和な学校が最も多いといえます。

プロフィール



中学受験と私塾、中高一貫の中等教育と私学を対象とする調査・コンサルティング機関。私塾に『中学受験研究』、私学に『私学中等教育』を月刊で発行している。「わが子が伸びる親の『技(スキル)』研究会」を主催している。

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