一日にどのくらいの量の演習をするべきものでしょうか[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小4女子のお母さま


質問

自宅学習をしています。受験用問題集を利用しています。一日にどのくらいの量の演習をするべきものでしょうか? 計算問題は、毎日しています。未知の問題に当たると、理解するまでに時間がかかるものがあり、その一問のために一日が終了、ということがあります。


小泉先生のアドバイス

一日の演習量は使用する教材によって決まる

受験勉強をする時に、まず考えなくてはいけないことは「学習計画」です。これがしっかりしていないと、効率が悪くなるだけではなく成果があまり上がらないこともあります。塾に通っている場合はそのカリキュラムについて行けば良いのですが、自宅学習の場合は先を見据えた学習計画をしっかり立てる必要があります。そしてその計画はお子さまでは立てられませんから、保護者のかたが作り上げる必要があります。今回はご質問にお答えするとともに、学習計画を立てる時の注意点をいくつか挙げてみます。

まず、ご質問に対するお答えとしては、一日の演習量は使用する教材によって決まるということです。たとえば200ページ程度、4年生用算数の受験問題集を1年間でこなそうとするならば、1日に1.5ページから2ページのペースで勉強していけば約半年で終了します。
ただし1回やっただけではなかなか身に付きませんから、少なくとももう1回繰り返す必要があります。もちろん、2回目はすべての問題を復習する必要はありません。1回目にできなかった問題だけをピックアップしてやっていけば良いのですから、おそらく3か月もあれば終了できると思います。ということで、この問題集を勉強する目安としては1日約1.5ページから2ページのペースということになります。

もしこのペースを大幅に下回りなかなか進まないようであれば、使用している問題集が難しすぎるか、あるいは学習方法が効率的ではないのかもしれません。たとえば、わからない問題が出た場合漫然と考えているのではなく、模範解答を読んで理解するとか、それでもわからない場合は保護者のかた、あるいはごきょうだいに教えてもらうようなシステムを作っておくと良いでしょう。
このように、「何を(どの問題集を)」「いつまでに」「どのくらい」のペースでやるのか、そしてできなかった場合はどのように対処していくのかを決めておくことが学習計画を立てる時には大切です。

ところで、現在塾に通っていなくても、6年生になったら塾に通うことを考えている場合もあると思います。もし意中の塾が既にあるなら、その塾のカリキュラムにスムーズにつながる学習計画が理想でしょう。たとえばその塾が四谷大塚系であれば、自宅学習でも教材やカリキュラムは4、5年生の「予習シリーズ」のものを使用すれば良いことになります。一週間に勉強する内容や分量も決まっていますから、その場合は、そのカリキュラムに沿って学習していけば良いでしょう。このように将来を見据えた、あるいは将来のある時点から現在を考えた学習計画を立てることも大切なポイントだと思います。

もう一つ注意すべき点としては、算数は6年生の夏休み中にはすべての単元を終了するような学習計画を立てたいということです。「すべての単元を終了する」と言っても、もちろん多少の弱点はあっても問題ありません。それらは6年生の2学期に、志望校の傾向に沿って対策を講じていきます。つまり弱点補強と傾向対策のために、6年生の2学期はとっておかなければならないということです。
そのように考えると、ぐっと時間がなくなるように感じます。すなわちお子さまが今4年生の3月であれば、5、6年の算数の学習内容を、あと約1年半で勉強する計画を立てることになります。このことを考慮に入れると、先ほど示したペースももう少し上げる必要があるかもしれません。
受験までまだまだと思っていても、案外時間はないものです。このように、現実をさらにしっかり見極められるようになることも、学習計画を立てることの効用の一つだと思います。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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