いい加減に解答してもこれくらいの点数は取れるだろう……という程度の点数しか取ったことがありません[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小5男子のお母さま


質問

国語の点数は、いい加減に解答してもこれくらいの点数は取れるだろう……という程度の点数しか取ったことがありません。本人は完全に苦手意識を持っています。集団塾とは別に個別指導塾に国語をお願いして見て貰っていますが、半年間まったく点数に変化はありません。どうにかしてあげたいと思うのですが、どこから取り組んで良いのかまったくわからずお手上げ状態です。小学校のテストは、選択問題を時々間違えている程度です。


小泉先生のアドバイス

このタイプのお子さまは、基礎的な「語彙力」が不足しているか、あるいは問題文を「論理的」に読解できていないかのどちらか

お子さまのタイプを拝見すると、わりと「大ざっぱ」で「感情的」であり、かなり「わんぱく」で「強気」なタイプです。このタイプのお子さまは、基礎的な「語彙(ごい)力」が不足しているか、あるいは問題文を「論理的」に読解できていないかのどちらか(あるいは両方)の可能性が高いでしょう。

まずは、お子さまの語彙力の状態を調べてみましょう。やり方としては、お子さまが読んだ問題文の中で難しそうな漢字や熟語の意味を質問してみるとよいでしょう。
もし知らないものが問題文中に1つや2つなら、前後関係で読めますから問題ないでしょう。しかし、その数が多くなるとさすがに何が書いてあるのかわからなくなります。3つも4つもわからないものがあるなら、「語彙不足」が国語の不振原因の一つと考えられます。早速、漢字や熟語の演習を始めてください。
毎日コツコツ勉強するのを嫌がるかもしれませんが、基礎的な勉強は時間がかかるものです。今から、しっかり勉強していきましょう。

次は、「論理的な読解」について。お子さまの性格からすると、問題文を思い込みで読んでしまっている可能性が高いように思います。すなわち、物語の内容や筆者のイイタイコトを、自分勝手に創ってしまっているということです。もしそうであれば、国語の点数が低迷するのも当然です。「論理的」に本文を読み、その本文を「根拠」として精密に解答することを学ぶ必要があります。
ちょうど国語の個別指導塾に通われているのですから、指導していただいている先生に、「なぜその答えが正解になるのか?」を論理的にわかりやすく説明していただくと良いでしょう。国語の場合でも、問題を「論理的」に解説することは可能です。逆に言えば、いつまでも感覚的に考えていては、いくら勉強しても効果が少ないということです。

論理的に勉強していくと、考える時間が多くなるので解く問題量が少なくなります。しかし、国語の学習は「量より質」です。解く問題が少なくなっても、じっくりと考えることが必要です。特にお子さまの場合は、「論理的に考える」とはどういうことか、「精密に考える」とはどういうことかをしっかり体感させることが大切です。
このあたりは、小学生に指導するのが難しいところではあります。たとえば中学生や高校生であれば、言葉や文字で説明することで「なるほど」と納得してもらえることでも、小学生の場合は簡単にはいかない場合が多いのです。まだまだ幼い部分が多いため、「抽象的な思考」や「論理的な思考」が苦手なのです。そのようなお子さまに対しては、具体的な事例で、肌でその感覚を伝えるのが良いでしょう。

以上の点を注意して指導すれば、おそらく3か月くらいで点数に変化があらわれると思います。なお、「小学校のテストは、選択問題を時々間違えている程度です」とありますが、おそらく、小学校で行っているものは直感的に答えても正解が出るような問題なのだと思います。しかし、中学受験の多くの問題は、論理的に精密に考える必要がありますから、その思考法を習得することは絶対に必要です。


プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

子育て・教育Q&A