合格後の先取り学習の是非 勉強嫌いにならない程度に勉強することが肝心
合格後の子どもにはどのような勉強をさせればよいのか。受験を終えた保護者からの相談に、森上教育研究所の森上展安氏が答えた。
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受験を終えた二人の保護者から、対照的な次のような相談が寄せられました。
一つは、「塾で半年分の先取り学習が入学式まで続きます。学校からは入学式までに終わらせるようにとかなりの宿題が出されるそうです。合格してもハードなスケジュールから抜けることなく乗り越えるべきなのでしょうか?」というご相談。もう一つは、「合格発表後、何も勉強しません。中学校の入学ガイダンスで課題が与えられるまで何をさせたらよいでしょうか?」というものです。
受験が終わったのだから、思いっきり遊びたい、という子どもの気持ちはよくわかります。この時期に勉強する必要はありますが、「先取り学習」である必要はありません。基礎学力が不十分な生徒であれば、中学校での授業についていくための「基礎学力の復習」をすべきでしょう。
入学前に学校で出される宿題も、入学後の授業についていけるだけの基礎学力を中心とした復習を重視する学校が多いと思います。客観的に見て英語と数学の素地は作っておいたほうがよいですね。
入学すれば、学校生活に慣れるのも大変な時期に勉強が難しくなります。4~7月の負担を少しでも減らすためという目的で「先取り学習」をするのでしょう。それでも、合格後の春休みをつぶすのは少し酷な気がします。
何年間も受験勉強をして精神的に疲れ切っているなかで、続けてハードな学習をすることは勉強に対する嫌悪感を持たせるだけです。嫌悪感が大きくなりすぎると勉強ができなくなり、不登校や成績不振の原因となるので、注意が必要です。