入試直前での志望校の検討 その1[中学受験]
中学校入試が目の前に近付くこの時期になると、あと1か月程で、どれだけ子どもの学力が伸びるか、おおよその見当がつくようになる。これまで子どものモチベーションを高めるために設定した「目標としての志望校」から、子どもの学力を考慮した「合格できる志望校」へ、受験する学校を決める最後の時期となる。
しかしこの時期は、模擬試験も終了しているので、何を根拠に受験する学校を決定すべきだろうか。特に、模試の結果が乱高下し、最後の模試では合格可能性が低かった、というような場合は、どのように検討すべきか難しく、同じ受験日の学校に願書を出して、まだ受験する学校を迷っているご家庭もあるかと思う。
本当に志望校に合格できるかどうかを模試の結果だけで判断するのは問題だ。
その理由は、
(1)最終の12月中旬の模試から入試まで1か月半のブランクがある。その期間に、猛烈に学力を伸ばす受験生がいる。それらの生徒が勘定に入っていない模試の合格可能性は疑わしいからである。
(2)さらに、模試では得点できて合格可能性が高い判定であっても、いざ志望校の過去問を解いてみると思ったよりも解けないようなら、実際の入試でも合格する可能性は低いからである。
次に、詳しくその理由を述べる。
(1)最終の模試が終わる12月頃から猛烈に学力が上昇する生徒がいるのも事実だ。入試まであと1〜2か月だからこそ、のんびり屋でも必死になる。必死になると思わぬ力を出せる生徒もいるのだ。
もちろん、そのような生徒は、もともと学力は高かったが模試になると得点ができなかったという生徒が多い。最終の模試のあとに過去問演習で「弱点克服」と「スコアメーキング」を行った効果が出て、志望校の合格最低点を上回る得点を上げることができるようになり、そのまま合格するケースだ。
それらの生徒の存在が見えないので、模試の合格可能性だけを信じて受験するのは問題がある。
(2)模試はいろいろな志望の生徒が受けるので、問題に癖や傾向が出ないように作ってある。しかし、実際の入試問題は学校によって癖や傾向があるので、向いている生徒もいればそうでない生徒もいるのだ。たとえば、ある生徒が不得意な分野や単元のところを集中的に出題する問題傾向の学校では、その生徒は得点できない。
その逆もある。模試では志望校の合格可能性が低くとも、志望校の出題傾向や出題する問題形式が生徒に向いていれば、志望校の過去問を解いていくうちに合格最低点を常に上回るようになることもあるのだ。そのようなケースは合格する可能性が高い。
このように、絶対だと思っている模試の偏差値にも思わぬ落とし穴があるので気を付けてほしい。やはり、志望校を検討する場合は、模試の結果だけを見るのではなく、過去問演習を行い、少なくとも合格最低点以上の得点が連続して得られた学校を志望校に選ぶべきだ。