好きな図形の問題は自信満々で解いていきますが、好きでない問題は気が乗らない[中学受験]
「質」にも注意して、お子さまの勉強を見てあげる
≪算数が得意になる一歩手前≫というところにいると思います。もう少しがんばればぐっと伸びてくるでしょうが、そうでないと苦手単元を残したり、応用問題には手が付けられなかったりしたまま6年生になってしまいます。まずは、算数への取り組み方を少し変えることがポイントでしょう。すなわち、解ける問題を解く喜びではなく、少し難しい問題を解く喜びを味わえるようにすることです。
算数はなんといっても、問題が解けた時の喜びがだいご味と言えます。特に他の生徒が解けないような問題が解けた時や、人よりも速く解けた時などは優越感も含めて喜びを感じます。
ただし、解けるレベルの問題を解き続けるような勉強は、かなり危険だと言えます。特に高学年におけるそのような学習は、言い換えれば≪時間つぶし≫に等しいものであり、勉強したという自己満足と問題数を解いたという達成感だけで、実力の向上は望めません。算数で必要なことは、解けない問題を一つでも理解し、次に同じような問題が出てきた時には解けるようになっているということです。ですから、簡単な問題演習をくり返すことは、極論すれば≪暇つぶし≫とも言えるのです。
ただし、「好きな図形の問題は自信満々で解いていきます」ということは、算数を得意科目にするための必要条件でもあります。つまり、ある単元について自信があるということは、算数全体が得意になるステップとも言えるからです。なぜなら、少なくとも一つの単元が得意であれば、その単元の解き方、すなわち「解法の手順」を身に付けているということになるからです。得意な単元であるなら、少々難しい問題でもなんとか解いていけるでしょう。
これからは、得意な単元では応用問題も含めた問題にも挑戦することが大切です。得意単元で少しずつ難度を上げていけば、それほど苦しまずに実力をアップさせることができると思います。
さらに、苦手な単元を減らしていく努力もすべきでしょう。苦手な単元は敬遠しがちですが、それらの単元にも「解法の手順」があることがわかれば、少しずつ解けるようになると思います。得意な単元があり、それらの「解法の手順」を身に付けているお子さまの強みがここにあります。もちろん「図形」と「文章題」を比べると、解法の手順は異なります。しかし、条件を整理し、どこかに着目して、公式などを使って解くという手順は、大きく見ればあまり変わりません。問題を何題もこなし、各単元の解法の手順を身に付けることで、算数に対する自信が培われていくと思います。
6年生になると、一つひとつの問題をじっくり考えるというよりも、問題演習の量を求められるようになります。しかし5年生であれば、難しい問題や苦手な単元の問題を頭を悩ませながら解くという時間的な余裕はまだあると思います。すなわち、5年生の今こそが、算数を得意科目にするチャンスなのです。
そのためには、できる問題を機械的に解くことに喜びを感じるのではなく、解けなかった問題が解けるようになる喜びを味わうことが大切です。やった問題数や終了した問題集のページ数をお母さんに見せて、「こんなにやった」ということで、満足しているお子さまも多いと思います。低学年のうちなら計算力の向上のために必要な演習ですが、学年が上がっていくと「量」だけで喜んではいられません。「質」にも注意して、お子さまの勉強を見てあげることが大切だと思います。