自分の目で字を追って読むと、文章の意味を理解するまでに至らない[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


質問者
小3男子のお母さま

質問
読解の理解がまったくなっていません。問題を読み上げてあげると理解できるのですが、自分の目で字を追って読むのは、字を追うだけで精いっぱいで文章の意味を理解するまでに至らないのではないのかと思います。母が本を読む読み聞かせは大好きです。

小泉先生のアドバイス
「読み聞かせ」→「音読」→「黙読」というステップで指導していく

お母さんの「読み聞かせ」は大好きなのに、自分の目で字を追って読む「黙読」は苦手というお子さまです。
「読み聞かせ」と「黙読」の間に「音読」を取り入れ、「読み聞かせ」→「音読」→「黙読」というステップで指導していくと効果的だと思います。「音読」は、子どもが文章を声に出して読む読み方ですが、声に出して読むことで読み飛ばしを防止できます。また慣れてくれば、情感豊かに楽しみながら読むこともできるようになります。最初は自分の声が気になって集中して読めないという子どももいると思いますが、慣れてくれば気にならなくなるでしょう。

さて「音読」のポイントは、何と言っても、くり返し楽しみながら読むことだと思います。そのためには、お母さんも音読に参加すると良いでしょう。たとえば、まずお母さんが音読し、次はお子さまが音読し、またお母さんがというように順番に音読していきます。物語文の場合は、登場人物ごとに役割を決めて会話の部分を音読しても良いでしょう。
また説明文の場合は、段落ごとに順番に読む方法もあります。この場合、スタートは必ずお母さんから始めてください。文章が何についての話なのかをわかって読むことができますから、お母さんが最初の段落を読むことは大切です。
段落ごとに読むのが難しい場合は、≪一文ずつ交互に読む≫ことから始めるのも良いでしょう。いわゆる「丸よみ」ですが、学校などで大勢の生徒を授業に能動的に参加させるために使われる手法です。一文ずつですと、忙しすぎて意味がとれない場合もありますが、順番に間違わないように読むのは意外に楽しいものです。ゲーム感覚で取り入れると、お子さまも意欲的に取り組めると思います。

さて段落がスラスラと読め、しかも内容も理解できるようになったら、次はまとまりのある数段落の文章を音読させます。この時は、まずはお母さんが最初から最後まで読んで、何が書いてあるかを理解させてから音読させるとスムーズにいきます。使用する教材としてはある程度まとまりのある文章、たとえば学校の教科書や塾のテキストに載っているようなものを使います。初めて読む時は少しつかえても、くり返し読むことでスムーズに読めるようになります。
おもしろいもので、スムーズに読めるようになると、自分から文章を音読したがるようになります。お母さんも面倒くさがらず、しばらくの間は聞き役として付き合ってあげてください。スラスラと音読ができて、内容も理解できているようであれば、最後はいよいよ「黙読」に入ります。

音読は文章を声に出して読む方法ですから、読むスピードはどうしても声を出すスピードに限定されます。従って黙読の重要な課題は、いかにスピードを上げるかということでもあります。小学6年生の2学期までに、1分間に600字を読めることを目指して練習すると良いでしょう。
また音読では、声を出すことはないので、より集中して考えながら文章を読むことも可能になります。たとえば説明文で「アメンボはなぜ水面を滑走できるか知っていますか?」と問いかけられた時、「本当だ。なぜだろう?」と共感したり、疑問に思ったりしながら読めるようになれば、文字を目で追いかけているだけではなく、主体的に読んでいるということになります。物語文であればどんどん物語の中に入り込み、読むスピードもかなり速くなっているはずです。黙読では長い文章を読めますから、教科書というよりも、一般的な書物を読ませると良いでしょう。

「読み聞かせ」という受動的に音をイメージ化する作業から、「音読」に移り、さらには「黙読」により能動的に文字をイメージ化する作業への移行方法について説明してきました。子どもがそれらを習得するには、なんと言ってもくり返しの練習が必要だと思います。しかし、いい加減な練習や途中でやめてしまうような練習では、なかなかうまくなりません。ご説明してきましたような、楽しく続けられる練習を心がけたいものです。

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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