志望校決定権者と不本意入学[中学受験]

「難関校・上位校では、3人に2人は不合格になる」ということから、本当は入学したかった第1志望校に入学できなかった子どもが多いことも現実であろう。不本意入学となった場合、学校生活の出発点から問題を抱えることも多くなり、これでは何のために中学受験をしたのかもわからない。
そこで、7月のコラムでは、併願校に進学した場合も考え、不本意入学にならないためには、併願校が「我が子に合った学校」かどうか調査し、併願校を進学したい学校にすべきことをお話ししたわけだ。

しかし、難関・上位ランクの私立中高一貫校の在籍者アンケートを分析している時に興味深いデータを見つけた。アンケートの質問は、「お子さんが通っている学校はご本人が入学を希望していた学校ですか?」というもので、選択肢は、「1.ぜひこの学校に入学したかった」「2.もっと入学したい学校がほかにあった」「3.この学校に入学するつもりではなかった」「4.特にどこかの学校に入学したいということはなかった」であった。
「1」(43%)は本意とする学校に入学したように思えるが、「2」(45%)と「3」(10%)は不本意入学のようだ。「4」(2%)はどちらでもない。不本意入学は「2」と「3」をあわせると55%になる。受験倍率の高さを考えれば当たり前かもしれないが、難関校・上位校でも不本意入学者は半数以上の55%にもなるのである。第1志望校に合格すれば、第2志望以下の学校には合格しても入学することはないので、中堅校・中下位校で在校生アンケートを行えば、さらに不本意入学者の割合が高くなることが予想される。

上記の興味深いデータとは、この「不本意入学」と「志望校決定権者」のデータをクロス集計した結果である。在籍校が本意入学であったか不本意入学であったかを最も強い志望校決定権者別に分類したところ、下記の表・グラフのようになった。

【図 志望校決定権者と不本意入学】
図 志望校決定権者と不本意入学

受験生本人の志望校決定権が強いご家庭にくらべ、父親や母親の志望校決定権が強いご家庭では、明らかに不本意合格が多くなる。本意合格で見ると、特に父親の志望校決定権が強いご家庭は、本意合格が13%と最低で、受験生本人の56%と比べると大きな差がある。もちろん、受験生本人が志望校決定権の強いご家庭でも、「2」と「3」を足すと44%もの不本意合格になる。しかし、父親や母親の志望校決定権が強いご家庭では、76%・71%と、高い確率で不本意入学になってしまうのである。

アンケートの結果から受験生本人に志望校の決定権を持たせることで不本意入学が劇的に減ることがわかる。しかし、小学生の子どもに志望校の決定をすべて任せるべきだということではない。最終的に子どもが決定できるように親子で志望校を決定すべきであろう。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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