教育方針・校風と学校の透明性[中学受験]
4月は、学校では1年の始まりで、スタートの時期だ。中学受験では、第1志望校を決める時期は文化祭をはさみ学校説明会の多い8月から11月がピークとなるが、単月で見ると第1志望校を決める受験生が最も多い月は4月なのだ。スタートの時期に目標となる志望校を決めるのは考えてみれば当然で、4月が最も多くなることは納得できる。
中学校の先生に第1志望校を決める受験生が最も多い月は4月であることをお話しすると一様に驚いているところを見ると、このことを知らない先生が多いのだと思う。受験生・保護者のニーズがあるのだから4月に学校説明会を行ってはどうか、と先生方にすすめたが、一様に「4月は1学期が始まったばかりで、とても時間的な余裕がありません」という返事であった。しかし、4月に学校説明会などの学校情報が収集できる学校イベントを行っている学校はほとんどないのに、受験生・保護者はどのように学校情報を収集しているのだろうか?
もっとも、学校説明会に参加しても、なかなか教育方針・校風がわからない学校が多い。学費を支払って教育というサービスを受けるのに教育の土台となる教育方針・校風がわからないまま入学することが当たり前になっている。商品を自分の目で見ることなく、評判だけで購入するようなものだ。学校が閉鎖的なのか? もっと透明性が高い学校が多くても良いと思う。
透明性が低い理由は、その必要を感じていない学校が多いということだが、受験者数が減ってきて、同じランクならば透明性が高い学校のほうが、人気が高くなることが容易に考えられる。就職活動でもそうだが、わかりやすいパンフレットを作り、わかりやすい説明会を行っている企業が、大学生に人気が高いそうだ。大学生も、企業がどのような事業を行っており、自分が入社してからどのような仕事を行うのかがわからないのだ。自分に合うところを探すという意味で中学受験と同じであり、中学受験と同じように透明性が高い企業が少ないため、透明性が高い企業が人気となる。
宝仙学園共学部(理数インター)という学校がある。数年前に新規設立された中高一貫校で、まだ卒業生が出ていないので大学受験の実績はなく、大学受験合格実績で学校を評価することはできない。しかし、その割に偏差値が高く、人気があって、受験者数も集まっている。それは何故かと言えば、保護者から支持される高い理想を持ち、明確なビジョンでその理想を実現するべく、わかりやすく学校の教育方針と校風を説明しているからなのだ。つまり透明性が高いのである。品川女子学院などは経営状況までホームページで公開していてすこぶる評判が良い。
宣伝になって恐縮だが、全国500校弱に知りたい情報のアンケートをとって4月に出版した(『入って得する人気校の選び方 中学受験白書2011』ダイヤモンド社刊)。その意味では、透明度の改善の一助になったのではないか、と思う。