志望校の選定方法と「我が子に合った学校」[中学受験]

誰が志望校を決定するのかも重要だが、どのように決定するかは、それ以上に重要かもしれない。以前、受験生本人の志望校決定権が最も強い場合の話をした。今回は、受験生本人だけでなく、父親や母親の志望校決定権が最も強い場合の選定方法は何か、また、「我が子に合った学校」と選定方法との関係についてもお話ししたい。読者のご家庭では誰の決定権が強く、どのような選定方法か、選択肢を見ながら確認してほしい。

私立中在籍者の保護者アンケートから、志望校決定権の強い者を父親、母親、受験生本人の家庭に分けて、志望校の選定方法の割合を以下のように表示。( )は父親、[ ]は母親、{ }は受験生本人の強い家庭の数値。

1.子どもが候補を絞り込み、子どもが志望校を決定する(0%)[0%] {11%}
2.子どもが候補を絞り込み、親子で協議して志望校を決定する(0%)[7%] {9%}
3.親子で候補を絞り込み、子どもが志望校を決定する(0%)[0%] {37%}
4.親子で候補を絞り込み、親子で協議して志望校を決定する(33%)[0%] {11%}
5.保護者が候補を絞り込み、子どもに志望校を決定させる(11%)[13%] {20%}
6.保護者が候補を絞り込み、子どもにアドバイスして志望校を決定させる(22%)[67%] {9%}
7.保護者が志望校の候補から志望校を決定し、子どもに納得させる(22%)[13%] {0%}

上記を見ると、誰の志望校決定権が強いかによって、志望校の選定方法に特色があることがわかる。親の志望校決定権が強い家庭でも「7.」だけではなく「4.」「6.」などの選定方法がある。

在籍校が「我が子に合った学校である」と答えた層で、どの選定方法が優れているかを確認してみると、「1.」:100%、「2.」:25%、「3.」:92%、「4.」:57%、「5.」:100%、「6.」:73%、「7.」:75%という結果になった。また、各選択肢を選んだ保護者は「6.」「3.」「5.」の順に多かったが、最も回答数が多い「6.」はそれほど満足度が高くなかった。
父親の決定権が強い家庭では、主として「4.」「6.」「7.」を、母親の決定権が強い家庭では主として「6.」を、受験生本人の決定権が強い家庭では、主として「3.」「5.」を選定方法としていることがわかる。「6.」の選定方法が多かったのは、親の決定権が強い家庭が多く、在籍校への満足度が低くなったのだ。つまり、志望校の絞り込みは親子または保護者が行うにしても、受験生本人が志望校を決定する「3.親子で候補を絞り込み、子どもが志望校を決定する」または「5.保護者が候補を絞り込み、子どもに志望校を決定させる」の志望校選定方法で「我が子に合った学校」に進学する確率を高めることができる。

プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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